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極意秘伝のはなし39

(承前)四端(したん:心に兆す四徳の芽生え、仁=惻隠・礼=辞譲・義=羞悪・智=是非)は理から発して気がしたがう。七情は気から発して理がその状況を利用する。理には変はなく、気には変がある。だから理に移る気はよい、気に移る理は悪い。しかも理から放れたら、万事万物は用をなすことができない。七情の気は理を失い、四端の理は気に覆われた時は悪となる。そうであっても、各理と気を放れず、天から自分に授けられた四七の情であるから、一つも捨てるべきものではない。例えば、喜ぶべきを(精神的に)悦ぶは喜ぶべきである。喜びを憂うことは悪であって、寒温補瀉(かんおんほしゃ=足りないものを身体に補い、不要なもの、害のあるものを身体から取り去ること)の薬を用いることに似ている。理と気をよく考えて、それぞれの用をなすように過不足ないところが、中和の意義であって、当流の柔の心である。これを常に、自分に加え、善悪を見て、義理にしたがい、死を恐れず、強弱を考えて、勇を励ますこと、当流の鑑である。

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