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武道の極意・秘伝集15

2他流に「先々の先」と申すことあり。右はこの方より、打たん・突かんと思うところを、向こうより、その先を掛けて打ち来たり・突き来るを、或いは受け、或いは払い、或いは切り落としなどして、その気を失わずして、後の先にて勝をいうことなり。決してこの方より打たんと思うところを、向こうよりその先を掛け来るを、またこの方より先を打つなど言う難しきことではなく、全く後の先を言うなるべし。
補足説明:「先」とは、自分から仕掛けて勝ちを制することです。
日本剣道形における「先々の先」について、高野佐三郎は次のように説明しています。「打太刀、仕太刀共に先の気位で問に進むから一つの先があり、間に接するや、打太刀が面を打つから一つの先がある。そして、仕太刀はこの二つの先を予知して、抜いて先で勝つから一つの先がある。以上、先を数えると三つになるから先々の先というのである。」

「先」については、宮本武蔵の『五輪書』火の巻の2項目目に「三つの先ということ」として整理されています。その概要は、
懸の先」=「」=「先の先」:相手より先に「先」をとること
待の先」=「後の先」:相手の攻撃の後に「先」をとること
躰々の先」=「先々の先」:相手の「先」より、さらに先に「先」をとること といったところでしょう。
大東流では、基本的に受手は「先」の、仕手は「後の先」の稽古を行い、上級者が「先々の先」(掛手など)の稽古を行います。

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