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掛手

掛手(かけて)とは、手捌の一つで、攻撃を察知し、先に相手を掴む等の動作をいいます。

掛手については、1985(昭和60)年に発行された「合気道教室」の中で琢磨会の宇都宮氏が「掛手という名称は琢磨会の名称ではなく、大東流の名称である。掛手の形は大東流合気柔術秘伝奥義36か条の最後の一手にでており、36か条以後の高度な技、奥伝技といえる。」と解説しています。

掛手

さて、掛手技法は大東流柔術にある技法です。大東流柔術の中伝技にあたる第1か条・第2か条は主として掴まれてから捌く技で構成され、奥伝技である第3か条から掛手がでてきますが、これを主とするのは秘伝技である第4か条からです。別稿「大東流柔術の秘密」において記載しましたが、大東流は江戸時代の世襲制を前提に3大技法(柔術・合気柔術・合気之術)別にその対象者、又習える範囲等が厳格に決められており、家老の息子、若殿様等は第3か条から始めるよう構成されていましたから、合気柔術を習えるクラスの人はここで掛手を教わるのです。その後、合気柔術系の中伝以降で掛手による様々な技(口伝)を習得することになります。

ここで、鶴山先生が整理した掛手の稽古階梯を紹介しましょう。
まず、抜手動作が掛手動作の入門技法となります。掴まれた手首など抜くことができなければ、その先はありませんし、掛手が失敗して掴まれてしまうこともあり得ます。
抜手動作の次に、掴み返し動作に進みます、抜手と同時に掴み返して技を掛ける稽古です。これに慣れてくると、掴まれる前に掴みに行く、いわゆる掛手動作に入ります。なお、掛手は単に掴ませないで掴み返す技法ではありません、入身とセットで用いないと使えないのです。
さらに、掛手の応用動作に進みます。例えば、相手の敵意(攻撃)を察知した瞬間、我から相手の顔面に霞の当てを施し、ひるんだところ先に技を仕掛ける。わざと隙を見せ(誘いを入れて)我の手や衣服を掴むよう仕向け、相手が乗ったところ先に技を仕掛ける。など高度な技法です。

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