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極意秘伝のはなし5

起倒流伝書から
「気体の事」
気は体のみつる所なり。気の起こるを陽といい、おさまるを陰という。
「志・気・力・差別の事」
志の赴くにつれて、その向こう物を取らんと手の出るは、志にしたがい、動いて気の通うなり、物を持ち上げるには気に随い集まるところ力なり。
これを武蔵の二天即一天の見方からすれば「二天は攻(栄)防(衛)にして、精よく気を生じ、気よく神を生ず、一身を栄衛すること、これより大なるは無し、精は至宝にして一天なり」ということとなります。なお、日常生活の喜悲に当ててみると、喜ぶ時は気和し、志達し、栄衛(代謝物質)通和し、気緩く、悲しむ時は心系はやり、肺葉挙げて上焦通ぜず、したがって、栄衛散せずして、熱中に留まり気消することになります。

神道流柔術書には、この二天即一天について、「太極動いて陰陽を生じ、陰陽合して万物を生ず、この術の発するところなり」「心神暗くなりて因(くるし)む時、たちまちに病根となる」「耳は足心へ通る道なり」と説いています。

楊心流伝書に「陰を痛めるものは、すべて禁穴を痛しとす。時に陽を助けて陰を痛むべし。すなわち陽を発する時は陰自ら陽に満つ、偏(ひとえ)に左の経を助くべし、陽を痛めるものはすなわち、陰発する時陽陰自ら陰に満つ、陰陽和合して経絡循環し、気経満つといえども、陽を痛めて陰を助け、陰を痛めて陽を助け、陰は陽をうけて時を待つ、ゆえにすべて陽経を助くべし」とあり、陰陽表裏の相互扶助を示しています。

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