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技法真髄11

補足説明:「ヰアヰッ」気合も、力を通す技術の一つです。発声に伴う筋力を活用します。自らを鼓舞する掛声という意味だけではないのです。大東流においては、柔術は気合術ですから気合(発声)を多用しますが、合気柔術においては要所で用いるのみです。

新陰流兵法では、基本的に発声しません。発声すると、そこで働きが尽きてしまうから、とされています。呼吸が呼気から吸気に変わる瞬間、意識が虚になることから、そこを狙われるのを避ける必要があるのです。唯一、内伝の燕飛(木剣を用いる勢法)で、昔は「ハー」という掛声を用いていました。
尾張柳生中興之祖である長岡房成が著した『新陰流兵法口伝外伝』中、猿飛(燕飛のこと)六箇之太刀の項目に「声をかけること」がありますので、これを紹介(意訳)します。
 
声をかけること、これは気を助けるためである。一切のものに気があれば声がある、だからこれを声気というとすれば、声はやはり気を発するところである。
人は息を呼する(吐く)ときに声を出し、息を吸うときに声が止む。息は気の出入りだからである。息が満ちて発する勢いは強く、発し尽きれば脱けて弱い。よって、息を吸って気を体の中に満たし、息を吐き気を外に強く発するために声をかけるのである。だから、声をかければ神気を助け、力を助けるのである。したがって、打ち透すとき、伏して発するとき、決断して発するとき、軽く乗るとき、委曲(身をかがめる)して発するときなどに声をかけることである。(続)

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