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柳生流柔術2

昭和13年植芝盛平が発行した「武道」では、項目のみで「口授ス」とあり説明はない。なお、「武道」の英訳版では、臂力の養成を「Developing arm power」と訳しており、非力の養成のことがわかっていない、ということが明らかだ。

非力の養成の表は、刀法の基礎動作である。素手による、足腰の使い方と上半身の抜力の稽古法なのである。また、腕への負荷は刀法の負荷の練習(合気投)になっている。この形は、新陰流兵法の猿廻(左右)そのものである。組形(勢法)による鍛錬を単独稽古が出来るよう、また、負荷も調整(1~6人)できるよう工夫されている。だから一見しただけでは同じものに見えないのである。一般武士は、素振り用の木刀、鉄棒などで練習するが、これは実際の場合と違う。素振り木刀はボクシング(鶴山先生はボクシング経験者)と同じく、実刀の場合より軽くなる意味しかない。

非力の養成の裏は、表から続けて、後ろのひざを曲げ、体重の移動を行う。この回転の途中が左の猿廻であり表裏を行うことで左右の猿廻の鍛錬が出来るのである。裏の場合は、左ひざを曲げ進める体重の移動が重要である。非力の養成によって、ひざ腰を固定し、わずかな重心の移動の感覚を掴み、太刀の操法(新陰流)と騎馬の操法を覚えるのである。

なお、非力の養成には、立位と半座位がある。また、それぞれに徒手動作・太刀利用動作があり、ここから単独動作・組動作(有負荷)を行うのである。

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