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槍と合気道27

引き続き「槍と合気道」「刀と合気道」「書と合気道」からなる3部作の引用です。
 
刀と合気道 東京朝日カルチャー 関野直輔
私は北辰真武一刀流の先生(二代目)から剣道を習ったことがある。その先生は次のように言っておられた。

「戦国時代までの剣術は、鎧や兜をつけた武士を斬るために、大きなモーションで力強く斬ることが必要だった。徳川時代に入ると平服での斬り合いとなるので、強く斬ることよりも速く斬ることが必要となる。モーションが大きいと敵に見られやすく、受けとめられやすいので、直接に近い小さな動作でスピードが早い方が有利になる。仮に刀身の長さが柄の長さの3倍あるとすれば、刀を構えた場合、右手をテコの中心点として、左拳を10糎(cm)動かせば、剣尖は同じ時間に30糎動くこととなる。したがって、最も速く動く剣尖付近で敵を攻め、防ぐときも最も速く動く剣尖で敵の最も遅い鍔元付近を処理すべきである。なお、最小限のモーションで速く打っても・・・一点に加わる力は無限大・・・という物理学的法則があるので、面積のない剣尖の点又は線で斬れば有効である。」

この説は、近代剣道はスピードが第一であるとの主張であるが、最短距離をゆく直接的運動と、テコの原理による加速とを重視するスピード剣道に対して、会津藩の溝口一刀流を有力な要素とする大東流はどのように対応しようとしているのであろうか。といつも思っている。

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