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大東流伝承の謎4

Q5:八方分身は誰に習ったのか
A5:一刀流の秘伝であった「八方分身」は本来大東流の技法ではない、別伝である。
武田惣角の剣術の師であった渋谷東馬も小野派一刀流であったが、惣角が八方分身を習った節はない。伊東一刀斎を始祖とする一刀流は、様々な分派を生んだが、会津藩伝の溝口派一刀流は小野次郎右衛門忠明の系統で独自の発展をみた流派であり、会津藩でも一部の上級武士のみが伝承していたようだ。なお、忠明の子忠常が小野派一刀流の開祖である。
「八方分身」は、溝口派一刀流の達人菅野権兵衛(会津藩上席家老)がその失伝を恐れ、井深宅右衛門に伝え、これを義理の兄であった西郷頼母が引き継ぎ、大東流とセットにして惣角に伝承したのである。

Q6:旦那芸や長者の術、武田惣角は誰から習ったのか
A6:西郷頼母は武田惣角に遠大な使命とは別に、生活の糧としての手法も伝授した。官公署だけの指導ではいずれ立ちゆかなくなる、これを見越して秘技を伝えたということだ。頼母はただの学者家老ではない、戊辰戦争を以降生き残った世故に長けたくせ者でもあったのだ。
そこで、大東流柔術の秘伝技の内、見栄えがする・面白そうな技を「会津藩に伝わる武田家代々の秘伝技」と称して教伝するよう教えたのだ。

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