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蒔田完一氏『護身杖道』に意見する3

「入身する時は、剣の動きと同時に動き、振り上げた時には既に入ってなければならない。これが大東流の動きで、振り上げてから入身する実験を何回かやりましたがダメでした。」
とあるが、この本が剣対杖の別伝であることの意味を理解していない。蒔田氏が全く知らない世界であるから当然かも知れないが…
補足説明:『護身杖道』は杖対太刀の組形を基本として、各種得物との間合を体得することを目的としています。大東流合気杖は、江戸柳生系合気柔術の教外別伝という位置づけですが、実は体捌その他こちらが極意本伝なのです。なお、杖対素手で行なう基本技(四方投など)は別伝です。
運動神経を競うような、上段からの打込みに対する入身は蒔田氏の指摘の通り難しいことは事実です。そこには、懸待表裏を用いた新陰流兵法の基礎技法が継承(内包)されている、このことを知らなければ捌けません。

「片手で棒を受けると受手に負担がかかり、叩き落とされる場合があります。」
については、何を想定してのご意見か不明。
補足説明:大東流では、杖を用いて棒術・なぎなた技法を稽古します。すなわち、柔術の教外別伝である棒術なのか合気杖なのかは、一見判らないのです。棒を振り回してくる・力一杯打って来るとすると、これを片手(太刀・小太刀)で受けることはそもそも無理です。太刀(両手)を小太刀(片手)で受ける稽古は行ないますが、口伝を知らなければ受かりません。なお、大東流合気杖においては、敵の太刀先を退かすために打ち払うことは行ないますが、それ以外はふわっと触れ捌く技法が中心です。

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