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武道の極意・秘伝集17

5剣術に許さぬところ三つあり。
 は向こうの起こり頭、
 は向こうの受けとめたるところ、
 は向こうの尽きたるところなり。
この三つはいずれも逃すべからず。そのまま畳みかけて、打ち突きを連続して繁(しげ)く出すべし。その内には勝ちを得るものなり。右の外、許さぬところ四つあれども、まず以上の三つを肝要なりとす。故に相手の起こり頭は必ず打つべし。向こうが受けとめたときには、そのところを引き離れて、間合いを取り直して出直すべからず。また向こうの尽きたるところは、決して逃すべからず。以上の三つを許さぬところというなり。尽きたるところとは、向こうより打ち突きを出してこの方に届かぬところ、太刀の外れたるところをいうなり。
補足説明:「先」を逃さず、打ち出したら三重五重と連打圧倒し、敵の打ち廃(すた)ったところを逃さず封じる。新陰流兵法においても同様の教えがあります。
「先」を逃さないというのは、立合の初めだけの教えではありません。一通りの攻防を経て敵が間合を放ち体勢を整え、再度打ち込んで来ようとするその頭を押さえる。勢法の中で徹底して教えられる心得です。剣術にせよ体術にせよ、間合に入ることは困難ですから、一端間合に入ってしまったら、この好機を逃してはいけません。打って→下からはねて→また打つ、これを新陰流兵法では三重(さんじゅう)といいます。一撃で敵を倒せるとは限りませんから、絶対に緩むことなく圧倒せよとの教えです。

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