極意秘伝のはなし37
22性
人は五行の秀気を天から授かって、五性(精)をそなえ、その動きによって七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)が出てくるのである。その性情を一つにまとめているのが心である。心を静かにして動かないところを性という。これを図で表わすと
木 愛 仁
理 火 敬 礼 未発之性無不
心稟金秀宜之理
気 水 別 智
土 実 信 善心之体 口伝
人が天から授かる(稟)ところの気は、このようである。
天の気には清濁がある。地より受ける質に純然と雑然がある。そして、清く純粋な者は上智となって知行天に合する。その全部(清濁・純然・雑然)を持つ者は中人となって、天に合うこともあれば、そうでないこともある。その濁と雑然だけを持つ者は、下愚となって、知に暗く、行いは邪にして天には合わないのである。
上智は五精(神をつかさどる陽の気である魂・肉体をつかさどるという陰の霊気である魄(はく)・神・意智・精志)の過不足なく、中人は少しずつ過不足はあるが、その精を覆い隠さないので、暗いことも明るいこともある。下愚は全然足りていないので、暗くて、明るくなることはない。そうはいっても、下愚にも少しは精あるのだから、その理を学び足りないところを補っていけば、綱常(こうじょう:人の守るべき道)の大なる道までは至ることは出来なくても、一偏の芸を思い通りにすることはできるであろう。中人以上は、いうまでもない。