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大東流合気会

「鶴山先生の軌道修正」と題する記事に、「先生はこれから本格的に普及活動に入ろうとした矢先、昭和62年12月21日に鬼籍に入られました・・・」と書きましたが、ここでいう本格的普及活動の中身について紹介します。

先生は、「日本文化を代表する日本武術(徳川文化)として、連綿として伝承されてきた国宝的秘技『大東流三大技法』と『柳生新陰流(江戸柳生)技法』の伝承及びその振興を企てる。」ために大東流合気会を設立する予定でした。
大東流合気会の概要は次のとおりです。

「大東流の武技(江戸柳生系と小野派系)は、能芸や歌舞伎の如く、その伝承には、長年月の積み上げが必要である。この技芸習得の方法は、現代武道(柔道、剣道、空手道等)の様に、試合化を目的とした個人の基礎体力(反射神経とスタミナ)だけに頼るものではないだけに、集団指導は全く出来ない(歌舞伎、能も同じ)、特に、大東流技法(小野派系〈中級武士〉江戸柳生系〈上級武士〉)は技法種類が非常に多いため、その伝承は、少人数(10人前後が単位)に限定される。そのため、伝承資格者は、次の条件を満たす者に限定される。
 1 経済的に自活力を持っていること
           (古武術であるからプロになれない。)
 2 技を正確に覚えられる人
 3 永続性が持てる人(根気がある人)
その理由は、戦前、戦後と日本の教育の一大変化に伴い、若い人達の考え方や、物に対する価値観が大幅に変わってきたので、これまで(明治以降、現在まで)のように、『誰にも知らせず、秘伝保存の使命感を持つ』といった明治人気質(大坪指方、久琢磨両先生)のやり方では、次世代の若人はついてこられないものと思われる。
当会が保存しようとする実体は、江戸城内での門外不出の武芸として、若年寄、老中の体力造り(回春法)として、また、管理者向きのストレス解消法として偉大な効果があったものであり、一般に知られている、軽輩足軽向き(柔、剣道)のものではなく、人間の身体のみでしか伝えることが出来ない無形文化財であるため、この会の設立により、世界に誇れる大名必修(上級武士用)の徳川文化が失伝することを恐れ防ぐことにある。
これまで非公開の原則を守ってきた大東流技法(江戸柳生系・一刀流系)の保存と振興を企てることを目的とする機関である。」

会の顧問には、福田赳夫氏(内閣総理大臣などを歴任された政治家、福田康夫氏の父)及び大坪指方氏を予定していました。筆者も朝日カルチャーの講座で鶴山先生が福田氏の顧問就任内諾を得られたことをうれしそうに話されていたことを覚えています。
残念ながら、鶴山先生の急逝のため大東流合気会が日の目を見ることはありませんでしたが、その志を少しでも引き継げれば、と思っています。

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