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柔術と合気柔術(上)

旦那芸とは、「金持ちや商家の主人などがなぐさみに習いおぼえる芸事」と辞書にあるように、若干揶揄しているニュアンスを感じますが、歴史的にはこういった旦那衆が芸事のパトロン(支援者)となりその発展に寄与してきたことは間違いないことです。さて、旦那衆には、目が利く方々も多く一流のものでなければ、相手にされません。本物を見せることで、納得し支援が得られるのだと思います。大東流の旦那芸も同じです。極意の集大成であるからこその秘伝であり、また、そこを秘して公開することにより宣伝など別の効用をもたらせている、ということでしょう。
今回は、旦那芸にも言及している鶴山先生のメモです。なお、「アトラクション用に用いるもので、デモンストレーションに用いるものではない。」とありますが、これは「単に見せるものであって、術理などを解説しながら実演するようなものではない。」という意味かと理解しています。

柔術の基本は2か条までの60本、3か条以上は応用技というか素肌武芸の奥義となっているが、その理念は小野派一刀流の剣法に依拠している。一方、合気柔術の基本技は、新陰流兵法、江戸柳生系体術を理念としている。
柔術の特徴として、例えば、関口流の技の中には竹内流の形を破る技法があるが、大東流にはそれがない。さて、大東流の多人数捕(取)は旦那芸の位置づけもある。旦那芸であるから大東流三大技法の各部分にも関係がある。演武用というか、長者の術というか、アトラクション用に用いるもので、デモンストレーションに用いるものではない。柔術の最後にも合気柔術の最後にもあり、合気之術にも似たようなものがある点共通している。このことが大東流関係者の考え方、理解の仕方に混乱を与えている。
一間同じような技に見えても、武田惣角は彼なりの階級区分に応じて指導していたようだ。

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