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「兵法百首」から読み解く「新陰流兵法」8

残心の 用心をせよ 兵法は ただ表裏にぞ 迷うものなり
補足説明:残心(残身)とは、攻撃を捌くとき・技を掛けるとき・敵を制したときなど、我はいかなる場合においても敵の反撃等に対し直ちに対応できるよう心身ともに備えがあることです。
新陰流兵法では、ほとんどの勢法が敵を制した形で終わっています。すなわち、止めを刺すことなく(これを示さず)上品に終わっているのです。ここに残心があり、その先を知らなければ勢法をわかっているとは言えない、ということです。
 
表裏には のるとのらぬと どれも勝ち のらぬとするのも のった道理ぞ
二目遣い 色を仕掛けて 敵の心 ひき見て勝つぞ 心やすくも
待曲の 習いを知れば 何時も 隙をいたして 懸かり勝つなり
補足説明:敵に動きがないときは、いろいろ迎え(誘い)を仕掛けて動きを誘発しそれに乗じて勝つ。もし仕掛け(色)に乗ってこないようならそのまま勝つ、という教えです。心の動きを眼を通じて敵に伝え(誘い=謀)、じっと見たり・ちらちら見たり・盗み見たりして敵の反応をうかがいこれに乗じて勝つ。また、敵に勝ちを見せて(餌)、敵が悦ぶように仕掛け(待)、これに乗ってきたところを勝つ(曲=技)、表裏を仕掛けわざと隙を見せ勝つことを待曲といいます。
体術においても、完全に止まった相手に施技することは困難です。相手の動きを引き出しこれに乗ずる、共通の理合です。

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