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岡本正剛著「大東流合気柔術」出版秘話1

岡本正剛先生は、昭和60(1985)年に「大東流合気柔術」という約200頁からなる本をスポーツライフ社から出版されました。
実は、この本のタイトルは「大東流合気之術」として出版するべく準備されていたのです。この情報を聞いた鶴山先生は、配達証明付きの公開質問状を送付し質したのでした。岡本先生の回答はありませんでしたが、出版された本のタイトルは「大東流合気柔術」に変更されていました。
以下、この時の質問状の抜粋に解説を付して紹介します。(全5回)

質問状
貴殿には堀川幸道先生が残された、大東流「合気柔術」の普及にご専念とのこと、陰ながらお喜び申し上げます。
さて、伝へられてくる風聞によると、近内中に大東流の著書を御出版との由、また驚いたことには貴殿が、「合気之術」をご存知であると宣伝されている由を、漏れ受け賜りましたが? 私共が知る処によれば、貴殿の武道歴は堀川幸道以外には、誰にも師事(大東流関係者)をしたことが無いと認識しておりましたが、それは間違っていたのでしょうか? これらの件は、正しい大東流像の普及活動にたずさわっている我々としては、大切な問題であるから是非共、それらの風聞の真相を、確認しておきたいと思い、この質問状を貴殿宛に提出することになりました。
私共の認識としては、堀川幸道先生は貴殿も良くご存知のとおり、大東流の「合気柔術」を看板にされ「合気之術」は全くご存知なかった筈です。最も、そのことは惣角が免許皆伝を許した方でないので、それは当然のことですが、(略)
堀川幸道門下の方は、堀川先生が伝えた技を、大東流の最高の秘伝技と思っておられますが、堀川さんが公開指導した多人数捕は、確かに大東流の技には違いありません。しかし、その技は惣角先生の言葉によると旦那芸と称したもので、惣角はこの旦那芸を堀川泰宗に教えたと伝えております。
貴殿が誤解していることは、多人数を扱うから「合気之術」であると思われているかも知れませんが、堀川幸道の多人数捕は「合気之術」とは全く関係がないものに等しいです。しかし、堀川さんの技も大東流の一部であり、惣角が伝えたものに間違いありません。この旦那芸も堀川さんのお父さんが、お金持ちだったからこそ武田惣角から習うことができたものです。旦那芸は大東流の合気柔術の他にもあります。例えば、時宗さんの知っている柔術118か条の中にもあります。(略)(続く)

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