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鬼の冠-合気柔術名人-を評して(上)

津本陽の大東流小説「鬼の冠」が「週間小説」昭和62(1987)年2月20日から連載が始まった。すべてが時宗氏の情報によるものである。

と始まる鶴山先生の論評があります。最初にB5版レポート用紙14頁にわたって引用(書き写し)があり、その後コメントが付されているので、このコメント部分を紹介します。先生は小説とはいえ、もうちょっとちゃんとした考証をしては…という思いが強かったようです。惣角の足跡は明治31年以降は英名録を追うことで一定程度確認できますが、それ以前の資料はないので詳しいことはわからないので調査は困難を極めるハズなのです。なお、「週間小説」には半年間連載され、同年11月、実業之日本社から単行本化されています。その帯には「幕末から85年間を武芸に生き抜いた、その漂泊の人生を活写する津本文学の真骨頂」とあるのですが…
さて、この先生のメモには1と付番されていて、続きを考えていたようですが、続きのメモがないことをみると、興味を失ったものと思われます。

以上が、第一回の小説の要点である。時宗氏の情報であることが明らかになってきた。
①惣角が武者修行の説明をしているのは、幕末期撃剣が流行した頃の話であって、大東流とは関係がないもので、関係があるとするのはおかしなことである。しかもここでは、直心影流を習ったとしている。

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