情報を選別する

歌唱において、初級者は練習をして集中しないと音圧（音波の強さ）に影響を受け、音圧のある他の楽器につられて聴き続けなければならない音が聞こえなってしまうことがあります。楽器が奏でる多くの音（情報）からリズムをキープするために必要な音だけを意識することから、始めなければならない、これができて始めていろいろな楽器の音が聞けるようになる、と聞いたことがあります。

形稽古という、かなりお気楽な状況にあっても、相手や周りからの、また自分の内なる情報も含めると、その量は多いものです。その中で、何が今必要か、選別し意識し続けることが大事です。これは集中するのとも少し違います。必要な情報（掴まれた手首から感じる相手の力感など）を意識しつつ他の情報を活用していく、幽体離脱して俯瞰的に自分を見るような感じと言ってもいいでしょう。でも、これはなかなか難しいのです、ヒトに闘争本能がありますから、投げたい、突っ込んでいきたい、と余計な力を出したり、無駄な動きをしたりします。また、防衛本能が働けば、安全なハズなのに逃げてしまう、腰だけが引けているということも、よくあることです。形を信じ、これらがあることをわかった上で情報を選別しながら対応する、こんな稽古をしたいものですね。