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骨法の堀辺が来た8

古武道では試合は出来ない、それは殺しのテクニックであるからである。
いくら本人が承諾書を書いても殺し合いなど警察が許すはずがない。古武道とは「殺しのテクニックを学んでそれを絶対に使わない」という強い精神力を養成する鍛練法だからである。
そこで私は次のように言った。
「中国拳法では、ヘソより足を高く上げてはいけないことになっており、それより上げる武術は華拳と言われるものである。」これを聞いた堀辺は予想外の論であったらしくギクッとした表情をして黙ってしまった。
鷹爪流拳法は香港に道場がある。堀辺はそこで一時習ったことがあるらしいので、中国武術界の常識は知っているらしい。それよりも私が中国武術について知っていることに驚いたようだ。それからすっかり黙ってしまった。で私は「無構活人剣」を使うことにした。
「貴方は、ベースボールマガジン社発行の『空手と武術』の中で大東流に関して、私の本を取り上げ書きましたね。」と言うと、彼は驚いた顔つきになった、やっと思い出したらしい。
「私は貴方が書いた大東流の記事について、堀辺正史氏の考え方は誤っていると書いているのです。それがこの号外のように14まで続いているのです。」と言ったら、そのことに対する弁解として
「大東流については、佐川先生の門人である吉丸君と色々研究した云々・・・」と言ってきた。
これは大東流では佐川氏が第一人者と信ずる吉丸氏の話を信用しての弁であることが良く判った。このことは私の連載の最初に述べているが、それが正しかったことがこれで証明できた。彼らの神話を壊さなければ、この号外連載の意味はない。
「貴方が取り上げた『図解コーチ合気道』には蜘蛛の巣伝が仕掛けてあるのですよ。」彼は何のことか判らないキョトンとした顔をしていた。
「図解は植芝合気道で説明は小野派一刀流系の大東流、大東流には大きく2系統あるのです。佐川さんはその小野派一刀流系の大東流を習っています。大東流は身分によって教わる技が異なっていたのです。植芝合気道も大東流ですが小野派一刀流とは系統が違うのです。そんな訳であの本には大東流の実体は少しも出していない。」と説明すると「ハハァー」と納得したような顔つきで言った。

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