見出し画像

武道と礼儀作法3

(承前)鶴山先生のメモ
礼儀作法は武道から来ているものが多くある、一般的なものの中から紹介すると…
 
靴を前向きにそろえて脱ぎ置くこと
よその家を訪問して、上にあがらせてもらう時、靴を前向きにそろえて脱いでおくのは一つの礼儀作法となっている。私が道場でこれをやっているが、これは武道家(武者修行者)が行っていた方法で、何か事があった場合は、すぐ履物をはいて飛び出せるようにとの用心深さから生まれたものである。
 
軽く手を上げ、すれ違いざまに会釈すること
人前を横切る時、その人に近い方の手を軽く上げるのも武道家の礼儀作法の一種である。一つは、こちらから攻撃しない旨の意思表示、今一つは、相手に胸・腹を突かれないようにするためである。
補足説明:この作法は心得として有効、かつ、重要です。まず、少なくとも片手をフリーにしておく。雑踏などで知らない人とすれ違う場合、片手を上げ(頭を掻くふり・帽子を直すふり)すれ違うことをお勧めします。相手に悪意はなくてもぶつかられたり、日傘などの露先(傘骨の先端部分)で突かれないための心得です。
 
正座のこと
正座するときは両足を重ねない。これは武道家の常識である。足を重ねると痺れ易く、早い動きが出来ないからである。右足を上に重ねた場合は、特にそうである。両足を重ねないことで長時間正座が出来る、これもサムライの心得である。訪問者を暗殺するため、主人が来るまでの間、客間で待たせる、この間正座しているので、足が痺れた頃を見計らって斬るのである。これに備える心得としての正座法である。江戸初期ごろはまだ安坐(=胡座(あぐら))が常識であったが、殿中作法が定まるとき正座を採用した。例えば、小笠原流などの礼儀作法の普及に伴い正座を武士の常識としていったのである。(続)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?