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やわら護身術4

現代は見世物としての気合術が盛んであるが、これらの気合術は、故人となった藤田西湖先生と現在尾道に健在の竹田浅次郎先生がお二人で昭和初期に研究され、一千近くの気合術を集めたり、開発したりしたそうである。現在テレビ等で気合術として行われているものは、この両先生の影響による亜流者の方のものであるようだ。
据え物切りは、古流である香取神道流剣術では絶対にやってはいけない御法度とされており、この誓約を破った者は破門されることをみても正統武術をくむ武術と見世物武術とに違いがあることがお分かりかと思う。
ただ、忍術と幻術(=妖術・手品・奇術)の区別が難しいのと同様に、気合術の言葉からは武術か見世物か、その区別は難しい。
兵法上、忍術も武術とされる広義の解釈に立てば、兵法における気合術として、幻術と同じ性格の気合術は素人には本物に見えるしサムライがやればなおのことである。現代、体術の体系に入る気合術と剣術の体系に入る気合術は、心気力一致に用いられるものである。
武道家と名乗る者が、武道を商売の道具と見立て客寄せのために見世物として気合術を行っている。これを素人が見れば、気合術をやる者のみ本物と思わせる作意があり、またその教導を受けた者が、武道の最高にものと思って宗家を名乗る、素人武術家とも称すべき輩も誕生していることは、現代における社会環境からみてやむを得ない時代なのかも知れない。

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