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合気二刀剣のこと3

「図解コーチ合気道」では、柔術の教外別伝である手解きの絵と、その応用技法が紹介されています。この手解きは鍛錬法であって形ではありません。柔術は武術的に正しい体の使い方(=体の力を構造的に有効に活用する)を学ぶ鍛錬法でもありますから、この手解きによって何をどう鍛錬しようとするのかが問題です。絵の素振りがいわゆる筋トレでないことは自明のことなのですが、これを見て独習しようとすると、重い太刀を早く振っても疲れない腕肩を作る筋トレではないか、と勘違いする方もいるでしょう。そこで、よくわかっている指導者から学ぶ必要がある、ということになります。

さて、この素振りの目的は、関節を意識し、不必要な筋肉群を使わない感覚を養うことにあります。まず、手首関節(橈骨手根関節)を意識すること、次にひじ関節、肩関節と意識の場所を変えていく、太刀を上げるときどこを使うのか、下げるときどうするのか・・・と鍛錬すべき内容はたくさんあるのです。まさに柔術テクニックで、武術の基本です。ということから、地之巻柔術の教外別伝に位置づけられたのです。

ところで、柳生厳長著「柳生流兵法劍道(昭和7年5月7日発行)によると、二刀の極意は、①隻手(せきしゅ=片手)に慣れること、②左手に物を執る(小太刀・手綱・人をかばう等)ことを倣う、とあります。

なお、最後の段落の「からの許しが出ないので、(中略)の一部を公開しておくにとどめる」のフレーズ「図解コーチ合気道」には同様のものが何度も使われていますが、知っているけどこれ以上は書かない、という意思表示を責任転嫁のような形で柔らかく表現したものであることは、言うまでもないでしょう。

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