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諸流派演武大会(上)

昭和44(1969)年8月24日(日)に電電東京体育館において、諸流派演武大会が開催されました。当時の会報などを参考に、この演武会について紹介します。

開催の経緯
ジャック・ルコック先生はパントマイムの理論家にして第一人者で、パリで世界最高の芸能人養成学校との評価が名高いジャック・ルコック学校を開き多くの有名な俳優を生み出している。
今回、フランス芸術活動協会から派遣され、現在ヨーロッパで最先端の俳優教育法=ルコックシステムを日本に伝えるため来日した。
早速、日本の新劇界から多数の申し込みがあり、ルコック特別講座は小池朝雄(劇団雲)、森塚敏(青年座)高橋昌也(劇団雲)、滝田裕介(俳優座)、渡辺美佐子(フリー)、米倉斉加年(まさかね、劇団民芸)氏らの著名な新劇人を含む42人が参加されたこと新聞記事に紹介されたとおりである。
ルコック先生は、知識ではなく、人間に密着して日本を知ろうとされ、我々が日常では気づかない点を鋭く観察し、「能、狂言、歌舞伎を見ても、道を歩いていても、日本人は首から両方の肩、胸の上部にかけてが非常に固い。お行儀はよいが、感情が開放されていないんだね。」と語ったそうだ。
もっと日本の伝統的なもの、特に動的なものの参考として武道に関心を示したようだ。
そこで、「日本の伝統古武術の実体を研究してみたい」との要請を受けフランス大使館を通じ(財)全日本空手道連会長大塚博紀氏に依頼され実施された演武大会であった。大塚先生などの日程上の都合もあり電電東京体育館2階の道場が会場に選ばれ、帰国の前日に演武大会が開催された。

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