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武道の極意・秘伝集19

7相手の背が高く、寸延びたる者には、打ち・突きを出しても、向こう少し仰向きて反り身になれば、この方の打ち・突きが外れて当らぬものなり。かかる節には、当流に長短の矩(かね)という伝あり。例えば、双方の太刀同寸たりとも、相手の背高く、寸延びたる者との試合には、この方の切先は、五六寸短きつもりにて打ち・突きを出せば、過ちなかるべし。これを延べの矩ともいう。よくよく思うところあるべし。
補足説明:遠間をどう攻めるか、これについて新陰流兵法では、三学円之太刀の斬釘截鉄で曲尺(かねじゃく)の打ち(一つの太刀=塚原卜伝の秘剣)を教習します。これによって、遠間から自分は打たれず相手に届かせることは実現できますが、身勢が崩れるため、新陰流兵法の刀法には採用されていません。あくまでも、このような攻撃法があること、そしてこれに対応する方法(仕太刀)を教えるための勢法なのです。

8「気は早く 静身は軽く 目は明らかに 技は烈しく」この歌は当流にて、初目録前後のところなり、味わうべし。
補足説明:万葉の時代からある五七調は、日本人にとってリズムの良い調子で、口ずさみ易く、心に刻まれることから、武芸のあり方を説く手法としても用いられてきました。いわゆる兵法歌です。新陰流兵法では『石舟斎兵法百首』などが有名です。

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