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呼吸投と合気投

鶴山先生の呼吸投に関するメモです。

植芝合気道に呼吸投(呼吸法・呼吸力養成法)と称する技法がある。座法の呼吸投は大東流の天地投で、立合のそれは側面入身投であって、呼吸とは関係がない。呼吸をどのように活用しているか不明だからである。入身投、小手返、四方投でもみんな呼吸しながら技をかけている。腹から出す気力のことを呼吸力と呼んでいるようだが、動作との関連性がわからない。言葉のみであって、その実体は習っていないからである。大東流から見れば、これらは借力による合気投と称するのが正しい。
さて、大東流の呼吸鍛錬法には、陽の鍛錬と陰の鍛錬がある。小野派系技法(柔術)は陽の呼吸法すなわち気合鍛錬で、江戸柳生系(合気柔術)は陰の呼吸法である。これらは体力作りの基礎技法(特に陽)である。大東流の呼吸投を象徴している技法に合気八方投がある。ここで陽の呼吸法を用いた投げと陰の呼吸法を用いた投げがあり呼吸法と手捌きに違いがあるのである。また、演武会で演じられる諸手取でしっかり持たれた腕を「ハァッ-」と気合を入れ上げ投げる技法が入門技法である。

解説 呼吸力を使うとは、本来、呼吸筋群の力を相手に伝えて技をかける方法で、体得することが難しい技法の一つです。そこで、外からでも分かるような「ハァッ-」と気合を入れたりして意識することから始めます。まず呼吸を意識することで、充力と抜力を学び、その後、力を相手に通す(通力)の稽古に入るのです。また、合気八方投は江戸柳生系(合気柔術)の技法であって、柔術の裏技を速修する趣旨から陽の呼吸法の技法も取り入れられています。技法区分から見ると合気投は初心者用で呼吸投はその先の技と整理されています。なお、総伝11巻においても第7~9巻が惣角直伝の技中に始めて「呼吸ニテ極メル」が登場します。大東流の技法体系からすると、奥伝・秘伝ではありませんが、体のコントロール法としては高級技法と言えるものだと思います。

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