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極意秘伝のはなし23
小栗流和術
小栗流和(やわら)摭(せき)語録
天地陰陽和合之事
天は父で、陽にして上にあり通じる。地は母で、陰にして下にあり留まる。それ天地陰陽五行の気をもって万物が生じるのである。人は万物の霊である。万物、天の陽気を受けて形を地の陰に生じる。これが陰陽和合の理である。天地から万物が生じ、父母から我が生じる理を現しているのであって、この陰陽和合の理に背いたら、万事勝負の理を知らないということになる。天は通じる、地は留まるとは、天の気が下れば、どこでも受けとめるということである。天の気が下るとき、地の気が和合して受けることを地に留まるというのである。だから強を弱で押し留めることはダメで、自分と留まるところが和合自然の道理である。であるから、無理は負け、道理は勝ちということだ。
また、物を生ずる根本は、北方の水であって、物を始めるのは、東方の木の気である。天の気下に行き地に留まり、また陽に上がる。これ水気から物を生じる理にして、陰より陽を生じるがゆえに陰陽という。和の道、そのほか諸勝負、天の気を地にうけて和合し、物を生滅するようになれば、相手なくなり何の勝負になろうか。敵と我と和合して陰陽の移りゆく間にて勝負を決すことが大事。
謀(はかりごと)によって勝とうとしてはいけない。陰陽和合の理に応え、善悪を考えなさい。天地陰陽の理は自分の体の中にはないけれど、一身の動静になぞらえて説明するため、太極の図を人の体極としてここに示しておく。(図略)
天地陰陽が分かれて五行が生じて、万物ができる。日月は陰陽の精気である。水火は陰陽のしるしである。(中略)回(めぐ)るものの極まるところを極というのである。天地日月それぞれ回るときは、極は南北を通し動かないのと同じ理屈である。容(かたち)がある者が動けば、容がない者はが動かない、すべて有無強弱の理は離れることはないのである。
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