日本伝合気柔術 技法稽古に入る初学者のための基礎知識8
合気柔術は「掴む・掴まれる」ことから始まる武士の殿中武法が源流である
殿中においては、禄高・職位によって帯刀が認められた。また、外出時は大小帯刀が常識であり、これらを用いる刀法が表芸であった。
例え、「ご油断召されるな」の心構えがあっても、信用している同僚・友人・知人の裏切りによる不意の攻撃、奥女中による懐剣攻撃、さらには複数の茶坊主による突然の組討ち(抜刀を阻止するため、両手・両腕を拘束)があり得る。このような事態に対し、脱出し刀法で対応できる心得が必要であった。この脱出技術が武士に不可欠な裏芸なのである。
そして、大東流合気柔術ではこの基本修練を「手刀打」とともに「手首掴み」から始めるのである。
「掴む・掴まれる」ことの目的
「掴み」動作は刀法技術の展開から体系化されたもので、その目的は間合を感覚的に覚えることと負荷(抵抗感・手応え)を覚えることにある。これらは脱出術の基礎である。すなわち…
両手持 小太刀を抜いて斬ることができる(物打ちが当たる)間合
片手持 太刀抜いて真っ向に斬ることができる(物打ちが当たる)間合
当たる感じ、掴む感じ、持つ感じ、さらには相手の状況(力感など)を感じること(負荷之事)
手首取の稽古を見て、そんな攻撃はあり得ない、殴る・切る方が実戦的であると主張する者もいるが、これはあくまでも基礎鍛錬法であって、この方法が最も優れていることから、古来より採用され大東流にも継承されているのである。
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