大東流の口伝14
まず、認識すべき事は、朝顔之事とは大東流の極意の口伝であるということです。手の形を朝顔の花に見立て「あさがお」と呼びます。ただ指を開いても朝顔は成立しませんし、ひじの問題でも上半身の問題でもありません。また、朝顔は極意ではありますが大東流の入門技法に過ぎません。朝顔は手の形を変えることで、万力手、手刀、鉄鎚、ぐい飲み、釣鐘、猫之手(ハード・ソフト)、幽霊手と変化していくのです。もちろん名前が変わるということは、技法の意味合い(ポイント)が変わるということですが、原典技法である朝顔にそのすべてが含まれているのです。この口伝が極意たる所以です。
では、朝顔の本質はどこにあるのでしょう?これを理解しないと、前述の変化やその活用法の意味が分からず、応用もできません。あれはあれ、これはこれ、と一つずつ覚えるという大変な労力を要することとなります。(こういうのが楽しい・好きという方もいらっしゃいますから、そういう方はそれで良いのです。否定すべきことではありませんが・・・。)
さて、朝顔は、「第3の力」という術理を用いているのです。
第3の力とは、「ヒトは第1方向及び第2方向の力に対しては抵抗(反発)できるが、さらに第3の方向の力が働くと対応できないという認知対応能力の弱点を攻める術理」のことをいいます。これも「相手の頭を混乱させるという統一理論と技術」の一つなのです。