見出し画像

骨法の堀辺が来た(続)9

(承前)かつて私(鶴山先生)が武田惣角唯一の免許皆伝者久琢磨の門人として『武道春秋(武道タイムス社)』の記者と共に佐川氏を尋ねインタビューしたことがある。この時、佐川氏が次のように語ったことをよく覚えている。
「惣角先生が仙台で倒れた(脳溢血)とき、駆けつけた私(佐川氏)に対し、惣角は片手を上げ、両手でしっかり掴めと命じて数回上げ下げした。最初は何の意味かわからなかったが、後日になり惣角先生が私に合気の極意を伝えたのだと思った。」
これを聞いた私は、佐川氏は大東流の奥義を知っていないことを悟った。
松田隆智は『秘伝日本柔術』で佐川氏を皆伝者として紹介しているが、この時の我々の取材に対し、同氏は久琢磨の免許皆伝を認め、自身が皆伝者であるとは一言も語らなかった。
後日、武田時宗氏からその真相を聞かされた。
佐川氏が持っている大東流の皆伝書は、武田惣角が久琢磨に皆伝を許した時の皆伝書の写しに時宗氏が惣角の印を押したものだったのである。(続)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?