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武道の極意・秘伝集16

3真剣勝負の節、何にも構わず、立ち合うと、直ぐに手の内に打込み、そのまま腹部を目がけて突き行けば、勝利は疑いなしという。心得おるべきことなり。
補足説明:これは、立ち合って相手の体勢が未だ整わないうちに一気に攻撃をして勝ちを取る、すなわち「先」を取ることの教えです。

4上達の場に至るに二通りあり。理より入るものあり、技より入るものあり。いずれより入るも善しといえども、理より入るものは上達早く、技より入るものは上達遅し。何となれば、理より入るものは、例えば、向こうが、か様にするときは、かくの如くせん。かくせんときはか様せん、かく成りたるときには、如何にせんと、その理を種々様々に考え工夫をこらして稽古するをいう。技より入るものは、左様な考えもなく必死に骨折り、散々に打たれ、突かれて後に、妙処を覚えることゆえ、上達の場合に至るには、大いに遅速あり。故に理を味わい、考えて稽古をなし、稽古をなしては理を考えて、必死に修行すべし。理と技は車の両輪の如く、故に理技兼備の修行を日夜怠慢なければ、10年の修行は5年にて終り、上手名人の場に至るべし。
補足説明:「理之修行、事之修行(中略)の二つは車の輪の如くなるべく候」これは沢庵宗彭の『不動智神妙録』の一節です。理(道理)と事(技)の一致を求道すべし、との教えです。車の両輪ですからバランスが大事。

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