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史伝西郷四郎2

「史伝西郷四郎」はあくまで「図解コーチ合気道」の説が正しいという主張でまとまっているから愉快にならざるを得ない。221~226頁に大東流合気柔術の項があり「武芸流派大事典(昭和53年の増補大改訂版)」からの引用文が載っている。この改訂版は私が出した資料に基づいている。旧版は新人物往来社から出ているが、この時は時宗氏から出た資料をそのまま使っていた。一般の人は「武芸流派大事典」の存在など知らない(知っていても高価なので買わない)のであるから、この本で大東流の歴史が紹介されたことの価値は有意義である。(「史伝西郷四郎」には、旧版からの引用(93頁)もありますが、本文中には「武芸流派大事典」からの引用としか書いてありません。また、参考文献には旧版しか載っていないので、検証しようとすると少しわかりにくくなっています。)
史伝西郷四郎のサブタイトルは姿三四郎の実像であり、今後、柔道や柔術に関心のある者は一度は手にする本であると思われる。大東流関係者は誰でも「図解コーチ合気道」は読んでいるので、西郷頼母と西郷四郎の関係、西郷頼母と武田惣角の関係のことは知っている。同書は昭和46年に発行し12年経過した。初版のころ時宗氏は西郷頼母の名前を意識的に上げていなかった。その理由は、長年主張している新羅三郎に始まり武田家代々伝承した合気柔術という説に差し支えると思ったからである。それでも私と付き合うようになってから、これでは通用しないと思ったのか、大東流合気柔術は甲斐武田家に伝来する秘術で、会津武田家に伝来され、会津藩御式内と定め、藩主・家老の護身武芸であって、武田惣右衞門の高弟であった西郷頼母を通じて…と苦しい説明に変えている。史料がないことを逆手にとって、いろいろな主張をする、専門家(歴史家)からすれば馬鹿馬鹿しい話であることは一目瞭然である。

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