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大東流の転身(下)

さて、大東流においては半座捌の場合に転換が顕著に現れる、半座のままでは転身が出来ないから左ひざを軸に回転(転換)するのである。立合の場合は、転身し攻撃を避けてから転換する。杖対太刀や懐剣術などで多用される捌きである。大東流では転身の中に転換は含まれているのである。このことは「図解コーチ合気道」の中でも触れているが、清水氏は小野派系の演武を見て、大東流には転身があるが、植芝合気道には転換があり、転換の中(その一部)に転身が含まれると説いているのである。
小野派系には転身しかないが、これは古流剣術の刀法を引き継いでいるからである。香取(神道流)時代(室町時代)は直線攻撃であった、これは槍が主体であったし、本格的甲冑を装着し騎馬武者の時代であったからである。それが戦国末期になると小具足を付けた武士が登場し、地上戦も予測でき、新当流など小具足剣術において転身が必要になったのである。一方、江戸柳生ではこの小野派系を破るため、転身プラス転換、転身後に必要に応じて転換する技法となっているのである。また、その鍛錬法としての体術が必要となるのである。清水氏はその理由を知らないから、転換の中に転身があるなど、もっともらしいことを言っている。武術とは何かを知れば、転換しただけでは敵に斬られてしまう、斬られてから転身しても何にもならない、先ず避ける=転身することが、最も重要なのである。

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