借りたほうが得だって?
人生の三大支出は「住宅」「教育費」「老後資金」。
教育資金の目安は小・中・高が公立で幼稚園と大学が私立の場合、子供一人につき1,033万円(金融庁の試算)です。
住宅は建売で3,442万円(住宅金融支援機構「2018年度フラット35利用者調査」)で、老後資金は1ヶ月26万円(総務省「家計調査年報家計収支編2018年」)。
まずは「住宅」について、見ていきましょう。
延々と繰り返される「購入派vs賃貸派」の、どちらが得か論争。
購入派のメリットは、愛着のある家で快適な暮らしができること・ローン完済後は自分の資産となること・老後の支出において「ローン完済後の維持費」と「支払家賃」との差額がプラスになることです。
購入派は初期費用(頭金・手数料など)やメンテナンス・リフォーム費用などで支出の変動がありますが、住宅ローン完済後は税金の支払いが中心になるので住居費の支出は小さくなります。
賃貸派は約50年という期間を通じて、住居費の支出があまり変動しません。
定年退職後に収入が減る状況下でも、定額の家賃を払い続けるということになります。
人生100年時代で長寿化の影響がより明確に出てくるのは、生きている限り家賃の支払いが続く賃貸派かもしれません。
購入派は老後の生活において、金銭的・心理的にメリットがあることは確かですが、そのためには定年までに住宅ローンを完済し、ある程度の預貯金を準備できていることが必須条件。
デメリットとしては、購入後は簡単に住み替えができないことです。
離婚・転勤・いじめによる子供の転校などの理由から、家を手放さなければならなくなる可能性もあります。
賃貸のローコストで住居を変更できるメリットは、評価するべきでしょう。
自宅用であっても、より高い価格で買ってしまえば損に決まっています。
自分の資産となるのは、ローンを払い終えた後の中古物件。
特にマンションの場合土地が残る戸建て以上に、ローン完済後の資産価値には大いに疑問があります。
子供が独立したあとには不要となる広い家を購入するために、重い住宅ローンを背負うのもひとつのリスク。
購入時点の頭金の額や、ローンの借入金額・適用金利あるいは返済年数の設定次第で支払総額は大きく変わるので、生涯の住居費の比較は難しいというのが本当のところです。
それらを踏まえたうえで、物件が安いと感じたり、損をしても良いから買うと思えるのなら、購入しても良いでしょう。
わたし自身は親と同居したかったので、家を買いました。
後悔はしていませんが、住宅ローンは大変です。
定年退職後に、家を買おうと思っている方もいるかもしれません。
両親の面倒をみる・子供と一緒に暮らす・介護施設に入居するなど、定年後の人生は流動化する可能性が高いことは考慮しておいたほうが良いと思います。
金銭的な面から中古住宅を買う選択になることもありますが、築古の物件を買ってしまうと、自分よりも家のほうが先に老朽化するかもしれません。
購入費や快適に住むためのリフォーム代で、老後資金が足りなくなる可能性もあります。
そのようなことをクリアするのならば、お金をしっかり貯めてから、夫婦あるいはお一人様用のコンパクトな「終の棲家」を買うのは賢い選択のひとつだと思います。