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カエンタケは怖ろしい

これからの観光シーズンに向けて、キノコ採りなどもされる方があると思うので、注意喚起のためにアップします。

カエンタケという怖ろしいキノコがあります。
カエンタケ(Podostroma cornu-damae), ニクザキン科ツノタケ属
写真のような形状をしており、食べると下痢、嘔吐、腹痛、手足しびれ、喉の渇きのほか、消化器不全、脳障害を示します。
「表面はオレンジ色から赤色。細長い円柱状または棒状で、土から手の指が出ているように群生または単生する。数センチから20数センチにまで成長する」と、東大阪市のHPにあります。画像もそちらからお借りしました。
食べなくても触るだけで皮膚がただれるなどの粘膜毒性、食べればもちろん腎不全などの内臓障害を起こします。拮抗薬はありません。透析でかろうじて助かった例があります。

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最近湿度が高い日が多いせいでしょうか、人里でも見かけられるようになりました。キノコ採りを趣味にされている方もあるので要注意です。山梨で隣のご主人が散歩のとき見たと仰ってました。
触るのもNG、食べるのはもちろんNGです。怖いのは一時治ったかに見えて、急激に症状が悪化するとのことです。ある意味私が研究していた(させられていた)ボツリヌス毒素より怖いかもしれません。

中毒の症状の一例です。
62歳,男性.食用のベニナギナタタケと間違ってカエンタケを誤食したところ,嘔吐,腹痛,水様下痢などの消化器症状に引き続き,翌日には全身の潮紅とともにショック症状が出現した。大量補液と人工透析の併用により,ようやく循環動態の改善をみたが,1週後には骨髄抑制による白血球および血小板の減少を認めた。経過中,顔面の発赤腫脹や難治性口内炎,回復期での掌蹠の膜様落屑と脱毛などきわめて特異的な皮膚粘膜症状を呈した。カエンタケの毒素成分は長年不詳であったが,mycotoxinとして有名なtrichothecene類であることが昨年解明された。カエンタケ中毒は本邦で6件発症し,患者10例中2例が死亡している。救命にはキノコの十分な鑑別と初期医療での大量補液が重要である。
この症例は、補液に加えて人工透析も行って助かった例であるそうです。

【参考】
厚生労働省のサイト
https://www.mhlw.go.jp/.../seisakun.../bunya/0000143427.html

カエンタケ中毒の1例
石川 博康 1 , 熊野 高行 1 , 鈴木 昌幸 2 , 熊谷 裕昭 3
1山形県立中央病院皮膚科
2山形県立中央病院内科
3山形県立中央病院血液内科
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似内惠子(獣医師・似内産業動物診療所院長))
(この原稿の著作権は筆者に帰属します。無断転載を禁じます。)
似内のプロフィール
https://editor.note.com/notes/n1278cf05c52d/publish/
ブログ「獣医学の視点から」

オールアバウト「動物病院」コラム
https://allabout.co.jp/gm/gt/3049/




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