後ろを振り向く

どんなに何かを期待しても彼は来ない。
わかってる。
だけど期待してる。
帰り道を。
後ろを振り向いて。
もし、彼の車が私を攫ったら私は幸せになれるんだろうか。
ううん、きっとしんどい。
しんどくてしんどくてしんどい、そんな、そんな、沼にハマってしまう。
でも思ったより私は彼に執着していた。
全然平気、だとか思いながら
なのに私は帰路を振り返る。
マンションのロビーからじっと目の前の道路を見つめる。
彼の車はいつも、私をそこで待つか、私を拾って帰る。
今日は、いない。
こんなことしたって、意味ないのに。

#創作大賞2022

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