マンションのベランダから見える風景

マンションのベランダがたくさん見える何気ない風景。そんな風景を見るだけで少し悲しい気分になってしまう。

僕が幼かった頃、友達の家に泊まりに行ったことがあった。僕はその友達の家がすごく好きで、その家にこびりついている臭いまでもがすごく好きだった。

その友達のお母さんは、すごく料理が上手で、美人だった。そして、友達の妹(僕にも妹がおり、それぞれが同学年。つまり、僕とその友達がタメ、妹同士がタメ、という珍しい偶然だった)が、すごくお母さんに似ているのだ・・・・。

なんというか、すごく複雑な気分だったのを覚えている。お母さんにも、友達の妹にも、すごく違和感があった。と同時に、こうした現象は微笑ましい、とも思っていたのも事実である。そういった何もかもが僕には好ましく感じられたのだった。

ともかく、その家は何もかもが自分の家と違っていた。子供たちはすごくうるさくて、やんちゃで、聞き分けが悪い感じだった。友達の妹は、僕の妹とは比べ物にならないくらい、やんちゃで、いつも母親に反抗している感じだった・・・・。

この辺りの事情が、のちに、僕の精神的な引きこもりへと発展していくことになるのだが、そのときにはそんなこと知るよしもない。

要するに、僕たちは大人しすぎた。今頃友達の妹は、立派に成人し、社会人になっていることだろう。そんなわけで、僕はマンションのあの風景を未だに強く記憶している。

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