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ブルアカ苗字考その① ~証明するまでもなく多くいる苗字~ (3000世帯以上)

早速やっていこう。
しかしその①②は寸毫の疑いを挟む余地もなくそれなりに分布している苗字だ。よって前回の前置きにも書いた通り画像での証拠の提出は割愛する。もしかしたら諸君の身近にいたり、或いは同じ苗字の有名人をすぐに思いついたりするかもしれない。



大野

約54,000世帯・220,000人
読み:おおの、おの、おおやなど

大野ツクヨ

キヴォトスの生徒たちの中でもダントツに多い苗字。多すぎて寧ろ浮いている。全国でも70位代には入ってくるメジャーな苗字で満遍なく分布しているが、特に愛媛県松山市には2,500人ほどいると言われている。
それゆえ由来も多く存在するが、現在の群馬県で国造を歴任していた上毛野氏の影響が大きいようだ。
一体どういう意図で大野に設定したのか、却って気になるほどである(「身体が大きいから」にしてももっとそれっぽい苗字があるものだが)。


白石

約24,000世帯・100,000人
読み:しらいし、しろいし、はくせきなど

白石ウタハ

こちらも非常にメジャーな苗字。
ただ満遍なくではなくまたしても愛媛県に非常に多く集中しており、同県を代表する苗字のひとつ。キヴォトスは愛媛にあったのかもしれない。
由来としては磐城国にあった白石村(現在の宮城県白石市)が有名だが、愛媛のものはかつてここを拠点としていた越智氏に由来するものが大半である可能性が高い。
また前者の白石は「しらいし」ではなく「しろいし」と読む。参考までに、戦国時代に宮城を拠点とした伊達家の家臣であった白石宗実の名字の読みも「しろいし」である。


約9,000世帯・36,000人
読み:たちばな
※2024/4/11 追加

橘ノゾミ
橘ヒカリ

PVで名前すら明らかになっていないどころか僅か1秒ほどしか登場していないにも関わらず、「シュポガキ」の名称で旋風を巻き起こした彼女らだが、この度名前と同時に苗字も判明。今まであまり同時に発表されるというのはなかった気がする。
その苗字はと言えば結構ありふれているもので、明石市など兵庫県を中心に全国に分布。その歴史も古く、708年に元明天皇が即位した際、杯に橘の花が浮かんだことが由来だという。その際に天皇の腹心であった県犬養三千代(あがたいぬかいのみちよ)が橘の名を与えられ、以降平安時代まで源氏・平氏・藤原氏と並ぶ(「源平藤橘」などと呼ばれる)名門氏族として隆盛を誇った。
また彼女らの名前「ノゾミ」「ヒカリ」はといえば新幹線の名前にもなっているが、それ以前の戦時中にも、朝鮮半島を北上し満州国へ至る南満州鉄道の愛称として使われていた時期がある。そして苗字の「橘」についても、日中戦争頃まで中国でジャーナリストとして携わった橘樸(たちばな・しらき)という人物がおり、彼は1925年にその南満州鉄道の嘱託社員ともなっている。


椎名

約6,300世帯・24,500人
読み:しいな
※2024/4/26 追加

椎名ツムギ

2024年4月のイベントで新たに登場した学園・ワイルドハント芸術学院の生徒。バンド活動をしている「ツムギ」といえばけいおん!の某たくあんを思い出すものだが。しかし本分はデスメタルらしく、どちらかといえばさわ子先生の方だろう。
それはそうと、創作にもよく見られる苗字(この表現は今後何度も出てくる)である「椎名」だが、現実でもそれなりにありふれた苗字である。特に千葉県匝瑳市・銚子市・旭市、茨城県日立市に多く、関東の東のはずれに非常に集中している。この付近には現在も椎名崎(千葉県緑区)、椎名内(同県旭市)などの字が残り、桓武天皇の流れを汲んでいた千葉常重の五男・胤光がこれを名乗ったのが発祥だという。
数がいる苗字の中では比較的特徴のある文字の並びであるところの「椎名」だが、その由来は釈然としない。言わずもがな「椎」は樹木のシイを指しているが、この字がつく苗字は「椎名」を除けば宮崎県などによく見られる。その代表格とも言えるご当地苗字「椎葉(しいば)」は、現在は日本三大秘境で有名な椎葉村に端を発し同地では最も多い苗字だと言われる。実は、自治体と同名の苗字が最多であるという現象は意外にも非常に珍しく、これは特筆に値すると言えよう。
また、「粃」と書いて「しいな」と読む言葉がある。これは殻ばかりがあって肝心の実が少ない籾のことを指し、転じて中身がないものの例えとしても使われる。とはいえマイナスの意味合いが強い言葉なので、字が転じたとてこれを苗字にするとは考えにくいか。


春日

約5,500世帯・22,000人
読み:かすが、はるかなど

春日ツバキ

長野県の上伊那郡に特に多い。
某鬼瓦のお陰で多くの人が読める苗字ではあるが、よくよく考えてみると難読である。
この苗字が広まったのは奈良県にある春日大社に因るものが大きい。藤原氏が祀られており現在も観光地として栄えているのでご存じの方も多いだろう。
さらに遡って春日大社を何故「かすが」と読むかについては、和歌の枕詞に由来するという。かつてこの地を踏まえた「春日のかすが(はるひ-)」という枕詞があり、転訛したのだと考えられる。
かように歴史的観点から特別な読み方にシフトしていった苗字も存在する。そこがまた、面白いのだ。
ちなみに若林は20,000世帯・80,000人ほどいるありふれた苗字である。今は別にオードリーの話をしていないんですけれどもね


花岡

約5,300世帯・20,000人
読み:はなおか

花岡ユズ

あまり耳慣れないようにも感じるが5,000世帯はいる苗字。こういった現象の顛末は大抵特定の地方に一極集中していることである。
花岡が集中しているのは春日に引き続き長野県。特に岡谷市に非常に多いようだ。由来はかつて同市にあった花岡村なる地名で、この系譜を継いでいるものが多いのだろう。


黒崎(黒﨑)

約5,100世帯+α・20,000人
読み:くろさき、くろざきなど

黒崎コユキ

黒という字の印象や某死神代行者の印象も相俟ってありふれていながらかっこいい苗字にも挙げられる。尤もブルアカの黒崎↑は今のところ大変残念な感じではあるが。
栃木県芳賀郡芳賀町に突出して多い苗字。人口の4%以上を占め、小林に次いで2番目に多い苗字となっている。同地の小字が発祥となっているようだ。
その他の由来としては、現在でも福岡県北九州市の中心を占める地名「黒崎」が発祥というものもある。鎌倉時代から記録が残るそうだ。


久田

約4,000世帯・17,000人
読み:ひさだ、くだ、きゅうだなど

久田イズナ

ただでさえあまり知られていない生徒たちの名字の中でも、特に印象が薄い気がするイズナの名字は久田(くだ)という。
現実世界の久田は大部分が「ひさだ」だそうだが、「くだ」も一応見つけたので下記に貼っておく。今後1000世帯以下の名字を紹介するときはこのようにして証明するべく画像を貼っていく予定だ。
愛知県常滑市では全体の3%ほどを占める苗字であり、伝承的にも尾張国にあった久田郷や、愛知県稲沢市稲島町の旧称が久田であるなど、愛知の由来と思われるものが大きくウエイトを占めている。
ちなみに裸祭りで有名な尾張大国霊神社の神主もかつて久田と名乗っていたそうだ。

「くだ」と読むパターン



早瀬

約3,500世帯・14,000人
読み:はやせ、はせや

早瀬ユウカ

月曜日の自殺率改善に大きく貢献したセミナーのお世話係の名字は、岡山県などによく見られる。
兵庫県佐用郡佐用町に現在も残る地名に由来するようで、奈良時代には既に「速瀬」という地名の記録が残る(なお「速瀬」は僅か4世帯ほど)。
個人的には「はせや」というメタセシスチックな読みがあるのも面白い。加えて先述した岡山県は倉敷市連島町でも、「灰佐」「羽井佐」という転訛があったようで、こちらも希少ながら苗字として残っている。


鷲見

約3,300世帯・13,000人
読み:すみ、わしみなど

鷲見セリナ

岐阜県に圧倒的に多い苗字。全体からしても「すみ」と読むものが大多数を占める。
同じく岐阜の地を治めていた藤原頼保が順徳天皇の命を受け、民の生活を脅かす鷲を退治して鷲見姓を賜ったという伝承があり、現在もこの地には鷲ヶ岳という名前の山岳が残っている。
フリーアナの鷲見玲奈の影響でこの苗字の読みを知った人も多いのではないだろうか。彼女もこの例に漏れず岐阜の出身である。


以上、3000世帯以上存在すると思われる苗字を紹介した。
ここまではまだ序の口で、次々回あたりがこの企画のさわりということになるのだろうが、分布している地域や由来を知るだけでも執筆をした意味があるというものだ。

なるべく早く次回を仕上げる予定である。

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