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【怪談】花火「死ねばいいのに」

Jさん20代女性から聞いたお話。


Jさんがまだ10代の頃、男友達2人、女友達2人の計5人で心霊スポットに行ったそうだ。

その心霊スポットというのは地元では有名だが、秋には山々の紅葉を一望出来る高所に架かる橋で、観光スポットとしても有名だ。


ある夏の夜、Jさんら一同はうるさい花火をしたかった為にその橋を訪れたそうだ。

橋に数個ほど照明は点いているものの、あたりは暗闇と真っ黒な山々の影ばかりでやはり気味が悪かったそうだ。


しかし数人も集まればそんな事も気にせずバカ騒ぎ、花火をして酒を飲んでのどんちゃん騒ぎを数時間続けた。

しかもその騒ぎの中、Jさんは悪ノリして花火の火で道路に「死ねばいいのに」と書いたそうだが、周りも「アホだコイツ」なんて言って止める者もいなかった。


さぁ戻ろうかという時に、友人女性が具合が悪いという言い出した。

あれ?そんなに飲んだか?じゃあとりあえずこのまま町に飲みに出るかという話になり、みんなで車に乗り込み山を下りた。


その車内でも友人女性は「具合が悪い、吐きそう、血の味がする」と訴えみるみる顔色が悪くなっていった。

山の麓のコンビニ近くでとうとう友人女性が限界という事で車を停めて道路脇に駆け込み吐いた。


Jさんは大丈夫かと駆け寄ったが驚いた。

友人女性の吐しゃ物は赤みがかった茶色で髪の毛と小石が混じっていた。

胃液かと思っていた吐しゃ物も、小石に混じり土の塊も混じっていて、それは土と血が交じり合ったものだという事がわかった。


一通り吐き出した友人女性は、吐しゃ物を確認すると「なにこれぇ、怖いよう」と泣き出してしまったが、町に着くころには具合は治っていた。


町に着いて、知り合いがいるバーで飲みなおす事にしたのだが、そこのマスターに先ほど起こった事を説明した。


するとマスターは、そこの橋は心霊スポット以前に、有名な飛び降り自殺の名所だと教えてくれた。


飛び降り…土…小石…血…

髪はわからないけど、何となく飛び降りて亡くなられた方に関わっているものだと感じたJさんと友人女性は、恐怖で震えたそうだ。


その後、Jさんにも友人女性にも何も起こらなかったそうだが、その観光スポットはなるべく近寄らないようにしているという事だった。

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ちなみに私は、お話を聞かせて頂いた時に「えっ、死ねばいいのにって書いたのはJさんだよね?具合悪くなっちゃったのは友人女性なの?」と訊ねた。

Jさんは笑いながら「そうなのよー、マジウケる」と返してきたが、こういう奴にこそ天罰は下るべきだろと思いました。






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