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asmc02
ヒワとエワ
命の炎が消えようとしていた。
ヒワは小さな妹の姿を見つめた_妹は小さく息をしている。
苦しそうには見えなかったが、妹の息が荒くなっていくのが分かった。
二人は小さな洞穴にいた。
妹が両親を殺めた流行り病にかかっているとは思えなかった。
「エワ」
妹に名を呼びかけると息が少し緩やかになる。
村で暮らしていた時のように。村長は両親が死んだ後も優しくしてくれた。
だが、エワが病気だと分かると二人は洞窟に置き去りにされた。
(病気だったら何が悪い?あの村の人々はすでに病にかかっている……)
エワの腕には病の印の赤い斑点ができている。
そのうち、自分も妹から流行り病が移って……
ヒワはぼんやりと考えながら妹の頭を撫でた。
「エワが助かれば……」
エワが助かればなんでもする。
でも祈っても地の神エヴィ神は妹を助けてくれない。
ヒワは呪った_二人を見捨てた両親と村人、エヴィ神を。
そんな姉妹をエヴィ神は天から見つめていた。
「あの二人を助けられないだろうか」
「あの流行り病は先祖の墓を暴き富を得た村の者への罰。
エヴィ様が口を出すことではありません」
「…」
「できるのは姉妹の時を止めるぐらいです」
エヴィ神は使いの鴉パシバを見た。
パシバは主の視線に気がつくと頷いた。
「お手伝いしましょう」
エヴィ神はニヤリと笑った。この鋭い鴉とは気が合う。
エヴィ神にもできることが一つだけある。二人に永遠の時を与えるのだ……
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