どくはく16「友人の悪口」

母はよく、私の友人や兄の友人に対する批評を言ってきた。
例えば、兄の友人の女の子がいたのだが、
「○○ちゃんは団子を1人一パックで全部食べたらしいよ、すごいよね」
と言っていたことを覚えている。
母の言う「すごい」が、ニュアンスとして侮蔑や嘲笑を含んでいたことを、私は感覚的にわかった。
私は子どもなのに、明言してはいけないと思い、口を噤んだ。

小学校低学年の時、私と仲の良かったOちゃんがいた。
おそらく私と入れ違いになったのか、Oちゃんが私の家を訪ねてきたとき、私は遊びにいって家にいなかったらしい。
Oちゃんは、しばらく私の家で、私が帰ってくるのを待っていたという。
そこでOちゃんは、私の家にいた母に
「あの、お腹すきました…」
と言ったそうだ。
母はそれを、怒ったような、軽蔑したような言い方で私に話した。
困ったからホットケーキを出したが、なんて図々しいんだ、と。

まあわからんでもないが、Oちゃんは(私もだが)小学生低学年、たかだか6、7歳の子にそこまで言わなくても…
今ならそう言えるが、当時の私は、友達の悪口を言われ、なんだか自分が辱められたような、そんな心持ちがした。
「そんなこと付き合いやがって」と、私自身も貶された感じがした。

ただただ、自分を恥じた。
なんでだろう?

他にも、小学校高学年になったとき、すこしギャルに染まっていた子と一緒に居たのだが、その子に対しても
「服装がすごい」
「きゃぴきゃぴして怖い」
などと言われていた。
なんでそんなことをいうんだろう、と、心地が悪くなった。

それから中学生になってからはなるべく、友人のことを話さないようになった。

毎日のコーヒー代に。