どくはく7「お腹の中に忘れたもの」

 車の中で、母と話した小学校1年生の頃。
 わんぱくで男勝りだった私は、スカートをはくのを嫌がったり、男の子とばっかり遊んだりしていた。
 母から言われた。
「あなたはほんとに男の子っぽいわねぇ」
 うん、と頷いた。

「おちんちんお腹の中に忘れてきちゃったのかもねぇ」

 うん、と頷いた。
 びっくりした。
 私は男の子なのかな、と思った。
 何がどう感じたのかわからなかったが、自分の「性」が幼いながらに揺らいだ瞬間だった。
 今でも、その言われた時の記憶が、強く残っている。
 その発言がなにが駄目なのかよくわからないが、自分という人間にとって大きく何かを傷つけられたような気がした。

毎日のコーヒー代に。