どくはく5「障害者ドキュメンタリーと母の考え」


家で、テレビを見ていたある日のことだった。
番組の内容は障害者の子どもとその家族のドキュメンタリー、皆の苦労や葛藤がありのままに描かれる作品であった。

重たい雰囲気の中で、「障害者の子どもを親が育てること」について母が意見を述べた。

「まあやっぱり親が子どもの面倒は責任もって見るべきよね」

お、何か良いこと言うのか、と思った矢先だった。


「どうせ障害とか持ってる子は親より早く死ぬだろうから、それまでぐらいなら面倒見てもいいわよね」


え?
かなり衝撃を受けた一言だった。
そんな価値観で、この番組を見ているのかと、戸惑いと怒りが溢れ出た。

私は幸運にも、診断名のつく障害を持っていない。
でも、障害を持つことは、本人は選べない。
障害を抱える方も、その家族も、好きでもっているわけではない。
葛藤して、苦しんで、悩んで、それでも彼らなりに必死で生きている。
それなのに。
もし私が障害を持っていたら、少なくともこいつにそんな風に思われながら世話をされていたんだろうか。

急激に母親に対する感情が冷めてしぼんでいった。
あぁ、この人はこういった見方しかできないんだと思った。
いくつも年上の母親に対して、軽蔑のような、哀れみのような気持ちが渦巻いた。

毎日のコーヒー代に。