夢と現実二極論崩壊論 ~私はこうしてDJになった②

突然ですが、片想いって好きですか?
私は好き。
だって楽だもん、倉橋ヨエコ風に言えば。

夢みているうちは、どんなことも実現可能な気がしてくる。実現すればそれに伴う煩雑なこともついてくるものですが、そこはカット。だって、ここは妄想ワンダーランドだからね。

でも一度だけ、DJしたことが実はあります。
あれは夢だったのかしら。
数えてみたら16年前だった。

長男がお腹にいる時に、恵比寿にあったクラブを借り切って、私とパートナーのウェディングパーティーもどきを友人たちが開いてくれた。
そこにDJブースがあると知った私は、ありったけのレコードとCDを当日持ち込んだ。
パーティーが始まって、調子に乗って私はDJをしていた。細かいところをまったく覚えていないのは、私が当時妊婦だったからということにしておく。音量を気にせず、どんどんヒートアップしていくと、地下のフロアから苦情が来た。「いしわたさん、ちょっと音でかいです、かみしばいがきこえな・・」「え?!」

そのクラブは地下フロアと1階フロア(だったかな)があって、地下ではちょうどその時、紙芝居アーティストがパフォーマンス中だったのだ。

とても楽しいパーティーだったが、それっきり、私がDJをすることはなかった。

次の春、長男が生まれ、怒涛の子育て時代が始まり、さらに月日は流れた。
それでも私の頭の中で、音楽が鳴りやむことはなかった。
通勤途中のチャリの上で、ここでこれを流したらカッコいいだろうな、とか、そんなら次はあの曲だよな、とか妄想するのは楽しかった。

去年、あるライブで会った人たちが、偶然2人ともDJをしていることを知った私は、話のタネに実はDJしたいんですよねー、と言ったところ、そのうちの1人が、なんと、必要とあれば教えますよ、というようなことを言ってきてくれた。

私のそれまでのDJのイメージって、DJやりたいの? へー、やれば? みたいな感じだったので、正直驚いた。

私はその気になり、それ以降、しばらくメールで師匠(教えてくれる人)との間でDJに関する質疑応答が続いた。しかし、私はだんだんビビッてもきていた。

そもそも本当に私はDJをやりたいのか? 
気分だけだったんじゃないの? と自分を責めた。
そんなことないもん、と弱々しく反論する自分もいた。
でもDJになるためには、機材を揃えないといけない。
はっきり言ってそんなお金はなかった。

そこで、DJ貯金と銘打ってお金を貯めはじめた。
貯金は少しずつは増えていった。
しかし、一向にとりかかる気配はない。
師匠との連絡も途絶えがちになった。

そのうち、従妹の娘が結婚するという。式に呼ばれたので、祝儀を出さなくてはならない。親戚なので3万でいいだろう、とカタギの弟が言うので、私も黙って同額包んだ。
DJ貯金は祝儀と消えた。

従妹の娘の結婚式があったのは今年の1月。
今から5か月前のことである。当時のメモ帳やツイッターを見ても、DJのDの字も出てこない。
DJ早喰いはたぶんまだ前世に生きていたのであろう。

・・・③に続く!!!

楽しいことをしていきます。ご一緒できたら、ほんとにうれしいです!