川の名前

車は何本目かの橋にさしかかる

窓から下を見下ろして

男たちが川の話をはじめる


川の名前をたずねるのはいつも男

女の知りたいのは 花の名


車は渋滞に巻き込まれる

運転手の男が舌打ちをして

他の男たちにもそれはうつる

川の話は続いている

男たちの声が絶え間なく重なる車内は

だんだん空気が薄くなる


女は窓の外を眺めている

花のない季節

窓を開けるのは憚られる

堪えきれず うすく窓を開けると

道はほどけて

車は少しずつ進みはじめる

楽しいことをしていきます。ご一緒できたら、ほんとにうれしいです!