母の家

居間の真ん中で倒れていた

部屋の中は物が多かったが

いつも通り整っていた

古新聞はまとめられ

リモコン類はあるべきところに


母のいなくなった家を片づけていく

居眠りしている母の口のようにあいた

そこら中の扉や引き出しをしめていく

食器棚の扉

カトラリーの入った引き出し

ふきんの入った引き出し

クローゼットの扉

テレビ台のガラス戸

洋服だんすの引き出し

母の存在はあけっぱなしの扉や引き出しと共にあった


あいた扉や引き出しをしめるだけの片づけがおわると

母の家は主の不在を受け入れたかにみえた

娘である私にはもう少し時間がかかりそうだが

楽しいことをしていきます。ご一緒できたら、ほんとにうれしいです!