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ポエトリー

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2016年12月の記事一覧

Everybody sings(仮題)

誰だって昔はうたっていたよ

もう忘れただなんてうそだよ

花がやたらと咲くものだから

当然のように実がなって種が採れると思ったらおおまちがい

種を蒔けば芽が出ると思ったらとんでもない

誰だって昔はうたっていたよ

あやすようになだめるようにはげますようにあるいはただいみもなく

歌ともいえないようなハナウタみたいな歌を

誰もが昔、歌っていたんだ

人に聴かせる必要はないから

ちいさな声

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月影

満月でしたね

いつか

場所や季節は忘れてしまった

月影という言葉の意味がはじめて理解できたことを覚えている

まんまるの明るい月が頭上に来るのは真夜中で

家まで歩いて帰る道々

自分の影に驚いた

隣の犬が寝ぼけて吠えた

満月だった

いつか

スリーピング・ウィズ・エネミー

絶望と希望は隣合わせ

そう気づいた日から

日々をやり過ごすことはサバイバルに変わった

ゼロか

ほんの少しか

その違いははかりしれないが

二点の距離は意外なほど近い

それを知ること自体が

私にとっては希望だったのだ