定期更新:人を斬るということ。

■定期ゲ Advent Calendar 2019 https://adventar.org/calendars/3913

はいこんばんはゆです。

地味で陰気な毒ジムリーダー、またはメルンストゥーラ作戦参謀、あるいは人斬り兼鍛冶兼解封師とでも呼んでください。全部分かったらゆ検定2級。

この記事では定期更新ゲームにおける対人戦、いわゆるPKシステム、あるいは人斬りについて触れてみたいと思います。

今はイバラシティ初回更新を迎え、私はPTMに呻きながら(なんで??)
次の生産や成長を考えたりイバラ側の動向をチェックしたりしています。
序盤はしばらく武器が一定需要ありそうですね。合成師がんばれ。

「プレイヤーキラーとは」、みたいな説明とか、オンラインゲームにおけるPKの歴史とかの話は特にいらないと思うので省きましょう。私もわからん。

自分の人斬り観(過去)

自分の定期更新ゲーム経験はDK2・5期のラスト数更新に触れた事に始まり、
DK3、偽島3期、六命を経て、SDや精霊を経由しながら大体りすげメインとして参加させてもらっています。

チャットの友人達がDK2を遊んでいたのを幾度となく小耳に挟んでおり。
その中で、PKは恐いものだ、警戒や対策はあれど遭遇しないのが一番、といった印象を受けていたというのが、「人斬り」概念を知る始まりだったように思います。

曰く、人数差も物ともしない圧倒的な強さで対戦を仕掛けて来られ、負ければ身ぐるみ剥がされる、と。
※当時は本当に身ぐるみ剥がせたようで、時代を経るとともにだいぶマイルドになってきましたね。

恐ろしいものだ、という印象がスタートでした。

自分の人斬り経験

DK3 3期ソロPK 4期裏方 5期ペアPK
六命アンジ(斬る準備して斬りチェックスカってる間に…)
一揆 PKギルド「メルンストゥーラ」
七海 海賊

このへんですか。
<s>そんなに斬ってないのでPK初心者ですね</s>

DK3の2期でソロ神龍討伐などの記録を打ち立て、これで定期ゲーム一区切りにするか、と思い3期当初は参加しなかったのですが。やはりと思い立ち、数更新遅れで登録し、折角だからと斬りかかったのがスタート。(よかったねその後10年経っても定期ゲー続けてるよ)
…もっとも、2期終盤ではかつて斬られた邪の血族にリベンジとばかりPKKを仕掛けたりはしていたので、厳密には斬りかかった初めてというわけではないですが。

今更「人斬り」の定義を考えてみると、広義の対人戦全般から、奪取があり対象パーティと直接戦闘する狭義のPKまで様々な段階があることがわかります。システムとして対人はあっても、闘技大会形式や奪取の起こらない試合、ポイント稼ぎ形式のものは、斬っている感覚は薄いかなという印象です。バトルロワイヤル形式は全員が斬りあう前提なので、「自分の選択で斬り、奪う」という感覚とはちょっと違いますか。
イバラシティは・・・分類しようとすると意見の分かれる所ですが、奪取のない陣営ポイントのみなので斬ってる感じは薄れつつ。もし奪取ありなら、ここまで広くは受け入れられなかっただろうな、と思っています。

自分はりすげーに触れたのは偽島3期からで、それ以前のゲームでは敗北脱落のバトロワ形式のものとか、いろいろな物があったのですね。旧作の話を聞くたび遊べなかったのを悔やむ思い。

GMの意図通りには動かないアンジ民

さて六命で登場したアンジニティですが。
ご存じのとおり「荒廃した世界、掃き溜め、治安最悪、まともな食料なし」であり、街にもまともな売り物がない。売ってる食料があぶない。
最初の街で0PSで手に入る食料が「あぶない果実」。しかも合成強度が高すぎて初期はまともに合成すらできないという・・・まあ高強度素材が一度合成可能となると途端に世界が変わるので、実際ドロップ品やサモンビーフを合成することに気づいたアンジ民は

話がそれました。

六命ではゲームシステム上、体調・持久・技回数の概念がありました。

◆体調  体調により戦闘後のHPSP回復  戦闘ごとに減少 食事で回復 
◆持久  技回数の合計分減少 0で全ての技使用不可
◆技回数 戦闘で使用すると-1  初期技で8 複合技で3
(これらは街に入ると回復)

さらにアンジニティの独自仕様として
★デュエル戦に勝利すると体調・持久・技回数が回復
という、さりげなくもえげつない仕様があり。

これが何を生み出したかというと、
過酷な環境においてデュエルでどうにか次の町までの体調持久を確保する凄惨な争いと奪い合い

ではなく

あまりに過酷だったため
周りのパーティと協力しあって(3人PT*2がペア*3となり好戦度-1の通常戦2対1で)どうにか山地帯を越えて次の街へ辿り着く

(デュエルする余裕はない)

なんて光景が見られたりしました。
美しきアンジニティの友情。

または、体調最悪持久ゼロ戦闘敗北でも移動だけはできることを利用して次の街へノーガード特攻、なんてのも。

もともと人を斬りたいプレイヤーはメリットがなくても対人を仕掛けることだってありますし、逆にゲームシステムとしてデュエルのメリットを設け、攻略上デュエルがほぼ必須なように誘導しようとしても、必ずしもプレイヤーはデュエルを仕掛けるわけではない、という。

プレイヤーがデュエルを行うかどうかは、各プレイヤーの思惑により様々ですし、仕掛けるタイミングが任意であることは斬り側のメリットでもあり。
少なくともGMがデュエルへ誘導しようとしても、人斬りは想定通り誘導されてくれるとは限らない、わけです。


GMの苦労がしのばれますね!(他人事)

なぜ人斬りを好きになったか

かつては「なぜ人斬りとか居るの。しねばいいのに」と思っていた時代もありました。

おびえて逃げまどうしかないと思っていた最初。
更新を重ねるにつれ、人斬りといえどこのスキルの使い方、この装備の作り方、この戦術は参考になるな。などと参考にして取り入れていった日々。

他人の結果を参考にしようとすると、一定の強さのある人斬り達の結果にも自然と行き当たるようになります。
それだけでも「彼らもいろいろ考えてるんだな」程度には思うように変化していったのですが、人斬り自体に興味を持ち、また対人戦の熱さを次第に感じるようになったのは、ユーザーの作るニュースサイトというものの存在が大きかったように思います。

戦闘予告として対戦カードが組まれ、翌週に対戦結果が出る。
それらゲーム内の出来事を注目させ、要約し、面白おかしく伝えてゆくニュース記事。
 ───次回○○vs■■、頂上決戦!勝つのはどっちだ!?
明確に、残酷に勝敗を伝える記事は、勝ち負け、奪い奪われという非情さを報じるとともに、ある種スポーツのような清々しさを伴ってもいるように思えたのです。

それまで自分にとって、人斬りというものは
「圧倒的に高レベル高能力で、かよわいプレーヤーを一方的に殴り倒しては金品を奪ってゆく」
という恐怖だけの存在としか見えていなかったのですが。

人斬り側をよく観察してみると、必ずしも最初からそうではなかったり。あるいは、勝手な思い込み、思い違いであったり。思い込んでいた認識がいつのまにか変わっていってたなと、後で考えると思うのです。

たとえばシステム上、相手と近いレベルで対戦が当たるのなら。
「わざとレベルを下げて能力を尖らせる」「複数の状況に対応できるような装備を用意する」「通常のモンスター戦では役に立たないようなスキルを取得し対戦に備える」など、よく観察してみるほどに、人斬り自身の工夫や努力が見えてくるようになったり。

対人屋同士の対戦カードも熱いものがありました。
TTI。邪の血族。黒猫団。機動殲滅隊。ビタスイ。メナス。高名な人斬りたち、あるいは暗躍する羽根。
カルマポイントと懸賞金を名誉とし、斬った人の数を刻みつける者たち。
金とアイテムとスキルポイントを注ぎ込み、万全な状態で斬り、斬れる状態を維持し、あるいは奇襲にも対応できるように陣容を整えて動き。
時にはアイテム改名まで利用して移動先を欺こうとし、神出鬼没のパーティ転送で隙あらば斬りかかり。
時に無差別斬り、時に敵対斬り、時にカルマ斬り。
そういった行動のひとつひとつに美学が感じられ。
そう、「美しい」とさえ思えるような結果たちが、そこには繰り広げられていたのです。

そんな美しささえも伝えるニュースサイト。
「ニュースで取り上げてくれるからPKに興味をもった」
「うちは斬られたけどニュースで取り上げてくれてうれしかった」
・・・否応にも目立つ人斬りとニュースサイトは、切って切れないものだったように思います。

思考と思考、積み重ねのぶつかりあい

定期更新ゲームは、ゲーム進行に与えられる時間が平等です。

これこそが定期ゲーの最も好きな点の一つで、プレイ時間で負けることがないというのはそれだけでモチベーションに繋がります。
大抵のオンラインゲームは、人によって時間をかけられる量に差があるので。時間面で不利にならないというのは、それだけで思考を注ぐ価値があるものです。

与えられた時間リソースの差がなく、平等な条件で積み上げられるもの。
キャラの成長、装備、スキル、編成。磨き上げ、余分を削ぎ、得意を伸ばしてきた、それらの集大成をぶつける場が、対人戦であると思っています。

奪い奪われ緊張感の上に成立する極限のゲーム。

一敗したら全勝にはなれないスイスドロー形式の闘技大会もまた緊張感はあるものですが、それでも強豪パーティに斬りかかる時や対人屋同士での決戦で得られる緊張と興奮は、他に何物でも得られないものでしょう。

快楽主義の人斬りとのそしりもあるかもしれません。
でも人斬りの人々、システム上のメリットだけで動くとは限らないんです。

中の人の存在

DK3当時はTwitterなんてものはなく、mixiがサービス開始した頃だったと記憶しています。
それまでキャラクター登録ゲームで交流する際、掲示板は元より、チャットに入るのも「キャラ名」そのままで入るのが当然といった塩梅でした。
プレイヤー名、「中身」として交流する人ももちろんいましたが、何よりゲーム内ではキャラクターを見ていること、ゲームプレイにおいて「中身」を見る機会が存在しなかったことにより、プレイヤー名を言われても「誰?」となっていたのです。
当時は稼働ゲーム自体が多くなく、DK3しか遊んでいない・界隈と接点がない…といった人も多かったため、キャラ名そのもので呼びあったりやりとりすることにも、特段不都合はなかったように記憶しています。

そんな中では当然のように
「極悪非道の人斬りを行う人は、プレイヤーからして他人に迷惑を掛ける極悪非道な奴なのだ」
といった認識が起こる一因となっても不思議ではありませんでした。

時は流れ。
今はTwitterはじめSNS全盛期、個人が個人として発信する時代。
ゲーム内では「キャラクターA」、ゲーム外では「キャラAを操るプレイヤーの○○」、という認識も当たり前になりました。

「キャラクターとプレイヤーの切り分け」
キャラクターの後ろにはプレイヤーがいる。当たり前ですが、これが人斬りとなると、かつての自分のような思い込みも生じていました。
現在、プレイヤーの操るキャラ、という認識が当然のように広まっており。プレイヤーとしてのやりとりはプレイヤー名、人によっては「キャラ○○PL」、というところが多いでしょうか。
そういった土壌の醸成、時代の変化とともに、「人斬り」キャラがかつてよりも受け入れられやすい、または存在を認識されやすい土壌に、昔よりもなりつつあるのかな、と思います。

それでも人斬りは忌み嫌われる。

受け入れられつつある、とは言っても、それは全てではなく。
むしろ過半数の(人斬りでない)一般参加プレイヤーは、人斬りは嫌い、出会いたくない、などと、程度の差はあれど思っていることでしょう。

人を斬る行為は、たとえ世界に組み込まれていたとしても、嫌われる行為。

むろん「ゲーム内キャラが人斬りを嫌う」のと
「プレイヤーがPKプレイヤーを嫌う」のはまた別なわけですが。
(この文を読んでいる方にはこれも自明であることでしょう)

斬られたから嫌い。奪われたから嫌い。
斬ろうとするから、奪おうとするから嫌い。存在自体が嫌い。
当然の感情だと思いますし、人斬り側としてもそこを否定するつもりはないです。

忌み嫌われる存在。
それでも世界に存在できるもの。
上等ではないでしょうか。
そう言った方にこそ、ぜひ「人斬り斬り」PKK稼業をやってもらいたいなと思っています。

ゲーム内迷惑行為とは区別されるべき

送品テロ。多重登録。取引詐欺。世界を破壊する行為。
ルール上禁止された、あるいは、禁止に準ずるような「迷惑行為」。

世界の法則上認められた(嫌われるかは別として)人斬りと、世界に認められない迷惑行為。
「どちらも迷惑だからどちらも悪い」と考える人もいるかもしれません(そういった意見を見た事はあります)。
考え方は自由ですが、世界のルールに組み込まれた行動と、世界そのものを破壊しかねない行為は、やはり区別されるべきです。

迷惑行為について「世界から排除される」と表現した方もいた記憶がありますが、人斬りは世界の要素であり、迷惑行為は世界への存在を許されない。
ここは大きな違いです。

人斬りは信用商売でもある

さて迷惑行為とも比較されてしまう人斬り稼業ですが。

人によって迷惑行為と同等とも、あるいはそれ以上とも捉えられる行為を行う以上、その他のゲーム内外の行為については常に誠実である必要があります。

やり取りは丁寧に、継続貼り付け確認も忘れず。値切ったり利益誘導したりしようとせず、相手のミスにも対応可能な限り寛大に。
取引を反故にしたり詐欺するなんて以ての外。

人斬りは嫌われる稼業であるからこそ、丁寧で誠実であるべきだし、一般のプレイヤーの模範ともなれる程度には振る舞いに気を付けなければならない、というのが自分の思いであり、信念でもあります。

ただしロールは別。
ゲームシステムに影響しない、騙し打ち、裏切りロール、上等上等。
お互い合意の上ならシステム上で表現するのも面白いでしょう。

もちろんロールは自由とはいえ、ロールはロールで相手の納得が得られるように・・・ですね!

さいごに

かつては「なぜ人斬りなんて存在しているんだろう、ゲームから居なくなれば良いのに」あるいは「しねばいいのに」とまで考えていた私ですが、今では人斬りシステムが好きです。

PKシステムには賛否両論あり、むしろどちらかというと否定派も多く(正常な感覚だと思います)、時代の流れとともにシステムも変化してゆき。
高額武器は奪えない、クリスタルは奪えない、装備は奪えない、奪われてもすぐに作り直せる、奪取自体が存在しない・・・
「参加者に受け入れられるゲーム」を願うGM諸氏は、時代の情勢とともに、旧来よりもマイルドな方向へと舵を切っているような印象もあります。

それでも。

いわゆる定期型りすげや七海のような得意分野では、斬れるシステムがあれば引き続き人を斬りたいと思いますので。

私は人を斬りますので、
参加者の一般プレイヤーさん方にはぜひ逃げ惑っていただきますとともに、GM諸氏には批判を恐れず、人を斬れるシステムを実装していただけたらと思います。
斬るので。

斬られた時に能力覚醒して検討に検討を重ね、ついに斬り返す・・・そんな一般パーティをゆは応援しています。


GMのみなさま人斬りシステム実装ありがとー!
でも闘技大会も好きです!!!!!


イバラシティでお亡くなりになった闘技大会に想いを寄せて。

(2019.12.21 ゆ)

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