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エピソード大喜利#50 お題:電車内でマナーの悪い人を一発で黙らせて下さい。

小田急線新宿発の最終電車。
何とか滑り込んだ細川はホッと一息ついた。
仕事終わりに通っている趣味の合唱教室で、レッスンが終わったと後も仲間たちと喋っていたらこの時間になってしまったのだ。
力を入れているコンクールが近づいてくるとついつい練習にも熱が入り終電になってしまう。
きょうもそんなよくある一日のはずだったのだが、いつもより車内が空いていることに電車に飛び乗ってから気付いた。
細川が息を整えて車内を見渡すと、7人掛けのイスの中央にドカッと腰を下ろし、足を大きく広げ、爆音で音楽を聴いているラッパー風の男が目に入った。
男は座っているが横にも縦にも体が大きいことは分かる。
 
他の乗客は面倒を避けて違う車両に移動したり、距離を取って吊り革に捕まっていたり、その巨漢の男の周辺には大きなスペースができている。
いつもの細川なら他の乗客同様車両を変えたり、距離を取るのだがこの日は違った。
コンクールが近づいていて気持ちが昂っていたのかもしれない。
先日観たブルース・リーの映画が影響しているのかもしれない。
 
細川『ちょっと、すいません』
巨漢の男「あぁん?」
細川『もう少し音楽のボリュームを落としてもらえませんか?それと足を広げると、席に座れる人が限られてしまうので閉じて下さい』
巨漢の男「あぁん?」
細川『もう少し音楽のボリュームを落としてもらえませんか?それと足を広げると、席に座れる人が限られてしまうので閉じて下さい』
巨漢の男「あぁん?」
細川『音楽のボリュームを下げて、股を閉じろって言ってんだよ!!』
巨漢の男「あぁん?」
細川の再三の声掛けに苛立った男は立ち上がった。座席から立つと男の身長は2m近くあり、体重は100㎏を優に超えることが分かる。
ただ細川もひるまず更に言葉を続けた。
細川『♬私の~お墓の前で~泣かないで下さい~。そこに~私はいません~眠ってなんかいません~♪』
突然、秋川雅史の「千の風になって」を美声に乗せて熱唱した。
 
巨漢の男は細川の突然の行動に気味悪がって、終電だったがすぐさま電車を下車した。
車内では拍手が起こったが、これは男を撃退したことへの拍手なのか、美声への拍手なのか、それとも両方なのか。
 
 
 

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