黒磯_アイキャッチ

ほんとは誰にも教えたくないお菓子の話 -ieji-

さて皆様、「バターのいとこ」というお菓子をご存じでしょうか?
無脂肪乳から作ったミルク感たっぷりのジャムをバターが香るゴーフル(ワッフル)生地でサンドした、知る人ぞ知る那須の新銘菓なのである。(ばばんっ)

実際に食べてみると、これがまぁ冗談抜きに美味しい。本物。
しっかり甘いのに、しつこくなくて、どんどん次が欲しくなる味。
一箱3枚入りというのも、絶妙で憎たらしい。

"バターのいとこ"の想い

気になるのが少し変わったこの名前。それには、「その地元で採れたおいしい牛乳から作った良質なバターで、世の食卓をより豊かなものにしたい」という熱い想いが込められてるんだって。

バターは牛乳から5%しか採れない貴重なもの。その残りのほとんど(90%)が無脂肪乳となり、脱脂粉乳として安価に販売されています。その無脂肪乳も愛情込められて作られた牛乳の一部。もっとその価値を高められたらと考え、生まれたのが「バターのいとこ」です。

なんともやさしい気持ちが込められたこのお菓子。
その優しさが、しっかり味に出ているところを思うと、次に気になるのは
「愛情込めておいしい牛乳を作り出している酪農家さんたち」。

命に丁寧に向き合う牧場「森林ノ牧場」

まず、牛が近い。
初対面の僕に対して警戒するどころか、くんくんぺろぺろ。
スキンシップが激しすぎて、牛相手に照れちゃった。
「まぁ、こういう牛もいるよね」

と思ったら、全員もれなく人間好き過ぎ。
すこし伝わりにくいけど、これは搾乳から牧場へ帰る牛たち。
1人が立ち止まって渋滞。詰まった牛もしっかりカメラ目線。
ごちそうさまです。

人間の先導も特にないまま帰路に着く牛たち。
ここにいる牛たちはジャージー牛と呼ばれる種類で、よく見る白黒のホルスタインよりも乳の量は少ないけど、少し濃厚なんだって。
どこかで見たことあると思えば、
苺みるくにする時のミルクのパッケージがこの種類の牛でしたね。ね?

牛たちの人懐っこさに気を取られていましたが、それもこれも、人間を怖がっていない証拠。牧場で働く方々が、日々どうやって牛に接してるか伺える。翌朝の放牧に立ち会わせてもらったけど、牛を引き連れてるのはやっぱり「牛バカ」さん。
※かくいう僕も、結構な「ねこバカ」

◆おバカさんの特徴
・動物に話しかける時、声のトーンが上がる
・あたかも会話してるように動物に話しかけ続ける
・「ん〜〜?」っていう意味のない言葉を頻繁に発する

朝の放牧をアテンドしてくれた「牛バカ」さんは終始牛に惚気つつ、
僕の、時に失礼だったかもしれない質問に対して懇切丁寧に説明してくれた。ここで細かい説明をすることは避けるけど、一緒に暮らしている牛たちを「一つの命」として丁寧に向き合っていることは痛いほど十分に伝わった。
一頭一頭に名前が付けられていること、それぞれの身体的な特徴や性格はもちろん、親子関係まで覚えていることからもそれが伺えて、純粋にかっこいいなと。(帰ったら銀の匙を読み返そう)

そしてこれ。「あの子の革」ペンケース。
お察しの通り、この牧場を旅立った子達の革で作られてる。

『あの子の命やそれを想う人たちの気持ちを繋いでいきたい』
その想いが「あの子の革」を使った製品になりました。

『あの子』が皆さんのお気に入りの革になっていきますように。

このペンケースは”つむじ”の革で作られているのだそう。
悲しいお話だけど、命と向き合うってこういうことだよね。
このカードに書かれているストーリーは一頭一頭異なっていて、その子の革で出来ている製品を購入したお客さんに渡してるんだって。イラストも、その子の特徴を捉えて描き分けられているんだとか。
その子の命を最大限生かそうと考えたら、こんな想いの籠もったプロダクトが出来るんだね。なんだか、ありがとうございます。

「9997」は言わずもがな。つむじの耳標番号。
正直、畜産業という観点だけで考えればこの番号で十分で、名前なんて必要ないはず。それでもこの牧場で暮らす牛たちには名前があって、ゆえに個性がある。

宣伝が目的じゃないからあえて最後にしたけど、この子たちが暮らすのは「森林ノ牧場」っていうところ。よかったら行ってみて。

那須黒磯エリアは、”バターのいとこ”や”あの子の革”、HIKARI SHOKUDO(ビーガンのお店)もあったりして、命に丁寧に向き合う人が思いおもいの形でその気持ちを繋いでいる場所でした。


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