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「棒が2本あって束ねられていたら、それは即ちコンパス。菜箸2本も立派なコンパスだ」
 そう言って枕辺さんは、鑑識の報告も待たず、勝手に捜査を始めた――ファンシーな絵柄のエプロンがシュールだ。
 彼は、菜箸の1本に、ビニール紐を巻き付けた。
 そしてもう一方にも結びつねる。
 雪の上にズボッと差し込んだかと思うと、もう一方も、雪の表面にそっと触れさせた。
 彼がぐるりと一周すると、きれいな正円が描かれた。
「わた。これで正円の謎が解けますね。雪が解けちゃえば証拠残りませんから」

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