幻の没シーン『江戸落語奇譚 始まりと未来』発売御礼企画その2
『江戸落語奇譚 始まりと未来』
幻の没シーン。泣きべそぴこちゃん。
本文には不採用になりましたが、割と気に入っている文があるので、置いておきます。
(軽微なネタバレを含みます)
アルコール度数三%の、ジュースみたいなお酒を買ってみた。
真っ暗な部屋で、スマホを片手に、ちまちま飲む。あんまりおいしくない。アルコールの味が邪魔で、これなら普通にライチのスポーツドリンクを飲みたい。
「……まっず」
二十歳になったら自動的にお酒が好きになるわけではないらしい。
夢を抱くのにも、運が要る。生きている間にやりたいことに出会えなかったら、どうなるのだろう。
それに、無理やり見つけたって、自然に好きになったことをやっているひとには一生勝てない気がする。
ごしごしと雑に涙をぬぐいながら、お酒なんか嫌いだと思った。
ちっとも気は晴れないし、おいしくもないし、泣けてくる。だいいち、飲んだだけでくらくらする飲みものなんて、危ないじゃないか。
体が熱くなって、記憶があいまいになって、気持ちが悪くなる飲みものなんて。
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『江戸落語奇譚 始まりと未来』
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